黒表紙の本

 今回は少し不思議な話を書きたいと思います。
 夏はテレビや雑誌、ネットなどで怖いもの特集が多く、小学生の頃はジェイソンが登場したり、ジョーズが迫ってくるだけで、指の間からしか画面がみられなかったのが、今ではホラー小説や実話怪談を読んだり、ゾンプラやYoutubeでホラー映画やモキュメンタリーなどを楽しんだり、すっかりホラー好きになり、夏はホラーをたっぷり楽しめる大好きな季節です。自分自身、霊感といわれるものは全くなく、怖い体験をしたことはないのですが、少し不思議な、気持ち悪いなと感じた経験があります。

 今から4~5年ほど前にホラー作家Mの黒表紙の本を某有名古書店で購入しました。作家Mは土着的なホラーや戦前戦後の時期を舞台にしたものも多く、江戸川乱歩や横溝正史が好きな自分にとって、とても好きな作家でようやく見つけて購入した一冊であり、家に帰ってすぐに読み始めました。登場人物、舞台設定の説明が終わったあたり、ちょうど20ページ目くらいで、ページをめくったら右側のページ全体が黒いボールペンのようなものでぐしゃぐしゃに落書きされていました。子どもがグーでペンを握ってぐしゃぐしゃに書いたそのような感じの落書きで、読めなくはなかったんですが、読む気が一気に失せてしまい、あまりいいことではないですが、その本はそれ以上読まずに、捨ててしまいました。

 それから2年くらい経ち、某有名古書店で同じ本を見つけました。以前買って読まずに捨ててしまったことを思い出し、好きな作家の本なので買い直しました。そしてうちに帰ってきて読みはじめたところ、また黒いボールペンのようなものでぐしゃぐしゃに落書きされたページが出てきました。もしかしたらこの本はこういう仕掛けがあるのかもしれないと思い、某大型通販サイトのその本のレビューをざっと見ましたが、落書きについて、書かれた内容はなく、捨ててしまったので確証はないんですが、今回は前よりもっと進んだページに落書きされているように思い、だれかのいたずらかと思いましたがいたずらにしては買った人の反応を見ることができないし、買った年も店舗も違うので、あり得ないかなと思い、それ以外の理由も思いつかず、不思議でなんだか気持ち悪いなと感じ、今回も最後まで読まずに捨ててしまいました。

 そして、先日、某有名古書店のセールで、同じ本を見つけました。少し買うのに抵抗を感じたんですが、読みたい気持ちには勝てず、中のページをざっと見て落書きがないことを確認してから購入しました。まだ読み始めていないですが、三度目の正直で今回は最後まで読めればと思っています。