新着情報・ブログ

  • 相続登記の落とし穴①

     先日、このようなお話を耳にしました。

    相続による名義変更の事例

     父が亡くなり、相続人は母と娘である私の2人です。
     相続した土地についてすぐに売ろうと母と話しあい、遺産分割協議はせず、法定相続分で母が2分の1、娘である私が2分の1の割合で不動産の名義変更の登記を自分でしました。そしていざ売ろうとしたところ、不動産屋さんより、登記識別情報が必要ですといわれたのですが、私の登記識別情報(昔でいう権利証にあたります。)はあるのですが、母の登記識別情報が見あたりません。どうしてなのでしょうか・・・。
     

    解説

     所有権について、法定相続分による不動産の名義変更の登記を行う場合、共同相続人の1人が代表して申請することが認められています(民法第252条ただし書)。今回のケースも娘さんが代表してみずから申請人となって不動産の名義変更の登記を行いました。そして登記が完了すると、登記官より登記識別情報が通知され、不動産を売る場合、この登記識別情報を提供することが必要になりますが、この登記識別情報が通知されるのは「その登記によって申請人自らが登記名義人になる場合」に限られています
     今回の場合、登記の名義人となるのは母親と娘さんですが、申請人は娘さんだけで、母親は申請人にならなかったとのことでした。そのため、申請人となった娘さんにだけ、登記識別情報が通知され、申請人にならなかった母親については登記識別情報がそもそも通知されず、ないという結果になりました。

     このように登記識別情報がなく、不動産を売却する場合、事前通知による方法(登記を申請後、登記官から売主の方に、「所有権移転の登記が申請されましたがあなたがこの登記の申請をしたのならば、一定期間内に登記官に申し出て下さい」、との通知が届き、売主の方が「本当に私がこの登記の申請をしました」と登記官に申し出ることで登記がされる方法です。)または資格者代理人(司法書士)による本人確認情報を登記官に提供すること等で登記を申請することになります。事前通知による場合、売主の方が2週間以内に登記官に申し出をしないと、登記申請手続が却下されてしまい、名義変更ができないというリスクがあります。

     法定相続分での相続の名義変更の登記の場合、遺産分割協議などなくてもいいため、自分で登記の申請をされる方も多いと思いますが、意外な落とし穴があったりしますので、ご注意ください。また気づいたことありましたら、②、③・・・と続けていきたいと思います。

  • 県市長会、県町村会と県司法書士会が空き家対策、所有者不明土地等の社会問題解決に向け、連携協定

     先日、信濃毎日新聞でも載りましたが、長野県司法書士会は令和6年4月18日、長野県市長会及び長野県町村会と「相続登記、空き家対策、所有者不明土地・建物管理制度、管理不全土地、建物管理制度等に係る協定」を締結しました。
     所有者がわからない不動産の減少等に向け、市町村の関連施策に司法書士会が協力します。

    具体的には

    ・相続登記がなされていない不動産の相続登記の促進を図ること
    ・所有者不明土地・建物の管理制度の周知及び利用促進を図ること
    ・管理不全土地・建物の管理制度の周知及び利用促進を図ること
    ・相続土地国庫帰属制度の周知及び利用促進を図ること
    ・適切な管理が行われていない空き家及び空き地の利活用を図ることを目的に、

     司法書士会が有する知見やデータを市町村が推進する各種施策に対して提供する、市町村職員向けの研修会や住民向けの相談会に司法書士を派遣する等を行うことになっています。
     相続による不動産の名義変更の義務化、空き家対策、所有者不明土地問題について、どうしようかという相談が日増しに増えていることを感じています。私も少しでも力になれるよう、情報を収集し、提供することができたらと思っています。

  • 2/17に『遺言・相続』無料相談会&セミナーが実施されました。

     2月17日(土)に先日ご案内しました『遺言・相続』無料相談会&セミナーが実施されました。
     当日は全国一斉の電話相談も実施され、10時から16時までに約1,000件の電話相談が寄せられたということで、非常に関心度が高いことを感じました。
     私も相談員として参加させていただきましたが、相続登記の義務化をはじめ、遺言書の作成、相続土地の国庫帰属制度、成年後見制度の利用など、多くの相談を受けました。
     またセミナーにも多くの方が参加していただき、ありがとうございました。
     
     なお、今回、都合がつかなくて相談できなかった方も、月曜日から金曜日の10:00~16:00まで相談予約を受け付けております。
     フリーダイヤル 0120-13-7832
     こちらにかけていただければ、お近くの相談登記相談センター(司法書士相談窓口)につながりますので、ぜひご利用ください。

     また、当事務所でも随時、ご相談をお受けしています。電話、面談、Web会議の利用、出張相談も行っておりますので、ぜひお気軽にお声掛けください。よろしくお願いいたします。

  • 長野県司法書士会主催、相続登記の無料相談のご案内

    2月は長野県司法書士会主催で、県内の司法書士事務所において、相続登記の無料相談を受け付けています。

     信濃毎日新聞朝刊の広告、テレビでのCMをご覧になった方もいらっしゃるかなと思います。
     
     相談料は無料で、相談内容は
     ・不動産の名義変更に関するもの
     ・名義が何代も前のものになっているなど
     ・相続登記の義務化に関するもの
     ・遺言に関するもの
     ・不動産の売買・贈与等の取引に関するもの  などになります。
     
     当事務所でも行っておりますので、気になっていること、知りたいことなどありましたら、下記までお気軽にご連絡ください。
     TEL 0263-31-6083

  • 『遺言・相続』無料相談会&セミナーの開催について

     長野県司法書士会、成年後見センター・リーガルサポートながの支部共催により、令和6年2月17日(土)に相続登記の申請義務化に向けた『遺言・相続』無料相談会&セミナーが開催されます。
     当日の相談は面談、電話、Webで行い、面談、Webについては事前予約が必要になります。

    開 催 要 項

    (1)面談による相談

    令和6年2月17日(土)午前10時から午後16時まで
    相談時間:30分以内
    要予約、相談料無料
    予約方法:長野県司法書士会ホームページの予約フォームから申込
         長野県司法書士会事務局へ電話で申込(TEL:026-232-7492 平日9:00~16:00)
    予約受付:令和6年2月16日(金)まで

          場  所    住  所
    北信会場
    長野市生涯学習センター(TOiGOWEST)
    受付3階
    〒380-0834
    長野市大字鶴賀問御所町1271-3
    東信会場
    上田市勤労者福祉センター
    受付2階第2会議室
    〒386-0024
    上田市中央4-9-1
    中信会場
    松本市松南地区公民館(なんなんひろば内)
    受付2階第3会議室
    〒399-0002
    松本市芳野4番1号
    南信会場
    伊那公民館 受付第1研修室
    〒396-0015
    伊那市中央5052
    (2)電話による相談

     電話番号:0120-339-279(フリーダイヤル)
     予約不要

    (3)Webによる相談

     相談方法:Zoomを使用(予約後、相談用のアドレスをご連絡いたします。)
     相談時間:30分以内
     要予約、相談料無料
     予約方法:長野県司法書士会ホームページの予約フォームから申込
     予約受付:令和6年2月16日(金)まで

    (4)セミナー

     1 相続登記の申請義務化に向けた司法書士の活用セミナー 同日午前10時から12時まで
       開催場所:長野市生涯学習センター(TOiGOWEST)3階 
            〒380-0834 長野市大字鶴賀問御所町1271-3
       (同時刻に日本司法書士連合会ホールにて開催するセミナーのWeb配信)になります。)
     2 相続、遺言の基本と成年後見制度について 同日午後13時半から午後15時まで
       開催場所:松本市松南地区公民館(なんなんひろば内) 2階
            〒399-0002 松本市芳野4番1号
       講師:公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートながの支部副支部長 舘島豪
     問合せ先:長野県司法書士会(TEL:026-232-7492)
     1,2ともに予約、参加費は無料になります。
     1,2のセミナー会場が異なりますので、ご注意ください。


     当日は相続登記のこと、またリーガルサポートながの共催により、成年後見制度の利用についても相談することができますので、例えば、相続人の1人に認知症の方がいる場合の遺産分割協議の方法や認知症になった場合の備えなどについても相談することができます。
     相続登記の申請義務化まで2か月を切りました。疑問などありましたら、ぜひこの機会を利用して少しでも解消していただけたらと思います。面談やWeb相談をご希望の場合はぜひお早目のご予約をお願いします!

  • 新年のご挨拶

    新年、明けましておめでとうございます。

    旧年中は格別のご厚情を賜り、厚くお礼申し上げます。
    みなさまの支えがあり、2023年も非常に充実した一年を送ることができました。
    本当にありがとうございます。

    年明けより、災害や事故が続いており、もしもの場合のことや自分にできることを考えたりします。
    司法書士という仕事は、登記などを通じて財産を守り、引き継ぐことが主な業務と思います。
    この仕事を通じてみなさまが抱えている不安をのぞき、安心して過ごすことに貢献できたらと思い、
    ひとつひとつの相談、ご依頼により一層丁寧に取り組んでいきたいと思います。
    今年から相続登記の義務化がはじまります。
    本年もみなさまのお役に少しでも立てるよう自己研鑽し、より一層努力を重ねてまいります。
    昨年同様、変わらぬお引き立てのほど、お願い申し上げます。

    みなさまのご健勝と益々のご発展を心よりお祈りいたします。
    本年もどうぞよろしくお願いいたします。

       司 法 書 士  田 島 喬 樹


  • ポケットにペンと一緒になにをつめこもう

     先日、ネットニュースを流し見していたところ、母校の記念グッズとしてオリジナルジェットストリーム多機能ペンが通信販売されるというニュースを見て、オリジナルツバメノートとあわせて購入しました。

     ブラックで側面に東北大学のキャッチコピーの「発見は未知ノ奥にあり。」と書かれています。(母校にこんなキャッチコピーがあることをずっと知らなかったです。いつからなのだろう、だれかよかったら教えてください。)今までジェットストリームプライムの前のものを使っていたんですが、なめらかさが段違い、紙の上をすべるように字が書けます。
     ツバメノートはOBの小田和正さん作詞・作曲の校友歌「緑の丘」のスケッチ画と制作エピソードが書かれています。
     どちらも購入することで売上の一部が東北大学基金に寄付されます。
     東北大学記念グッズサイトについてはこちらから

     大学を卒業してから、ずっと仙台に行きたいと思いながら、まだ一度も行けておらず、仙台まではただ行きたいと思う気持ちだけではもはやいけない距離なのかもしれないと最近、思っています。電車で約6~7時間、帰省の際はやまびこに乗って東京駅まで行き、そこから中央線に乗り、新宿であずさに乗り換え松本に戻ってくるというコースをよく使っていました。(やまびこで大宮まで行き、あさまに乗り換え、長野駅からしなのを利用して松本に帰ってくるコースもありますが、早く帰ることができる分、電車代もけっこう高いぜいたくなコースでした。)

     大学への入学が決まり仙台に行くときに、受験も終わって何かゲームをしながら行こうと、浦島太郎状態で松本駅前のゲームショップに行き、「今、大変売れてます!」の文字だけを信じてゲームボーイ!のポケットモンスター赤を買って、入学前の慣れない一人暮らしの手持無沙汰と不安な気持ちを抱えてポケモンをやって過ごしたなというのを思い出します。あのときの選択は間違っていなかった、店長さんにありがとうと伝えたいです。
     ちょうど今、「ポケットに冒険をつめこんで」というポケモンをテーマにしたドラマがやっていて、ポケモンをしながら仙台に行くのもいいかもなんて思いました。そのときは今回買ったペンと一緒にポケットになにをつめこもうって考えて、少しわくわくしています。

  • 司法書士による相続・遺言セミナーの開催について

     令和5年11月21日(火)に長野県司法書士会と日本赤十字社長野県支部共催により、「相続・遺言セミナー」が開催されます。

    開催要項

     日時:令和5年11月21日(火)13時30分から15時30分
     場所:日本赤十字社長野県支部 住所:長野県長野市南県町1074
     内容:1部  相続・遺言の基礎講座  講師:長野県司法書士会
        2部  日本赤十字社の活動紹介と遺贈寄付等のご案内  講師:日本赤十字社長野県支部 
     参加費:無料
     定員:35名(事前予約制)
     お申込方法:℡026-219-2562またはFAX、QRコード(下記のチラシからお願いします。)
     お申込締切:令和5年11月7日(火)17時まで
     お問い合わせ先:日本赤十字社長野県支部 担当:山﨑・小林
     遺言・相続セミナーチラシ

     会場までは長野駅から徒歩10分から15分くらいの場所になります。
     日本赤十字社長野県支部は前職でいろいろとお世話になったところであり、共催でセミナーが開催されることがうれしく思っています。
     また、長野県支部には長野県赤十字歴史資料館(入館料無料、要予約制)もありますので、この機会にあわせてご見学されるのもいいかもしれません。
     ご興味のある方は、ぜひ参加を検討してみてください。

  • 遺言書保管制度の指定通知者の運用が変わります。
    そもそも遺言者保管制度の指定通知者とは・・・

     自筆証書遺言書保管制度(自分で書いた遺言書をお近くの法務局で保管してもらう制度)を利用した場合、遺言を遺した方は、もし自分が亡くなったときに「遺言を遺していて法務局に保管してある」ということを通知する方(この方を指定通知者といいます。)の届出をすることができます。そして法務局は戸籍の担当部局と連携をとっているので、遺言者の死亡を確認した場合、指定通知者に遺言書を法務局で預かっている旨、通知をします。
     この制度があることによって、家族などに秘密にして遺言をのこしたい場合でも安心して法務局に預けることができますが、この指定通知者の制度の運用が令和5年10月2日より、変更になります。

     変更内容として、今まで通知をすることができる対象者が受遺者等、遺言執行者又は推定相続人に限られていましたが、これらの者に限らず指定することができるようになりました。またそれまでは1名のみに限り指定することができましたが、3名まで指定することが可能になります。これにより、指定通知者の方が1人だけなので引越しをしてしまっていて通知が届かなかったということを防ぐことができますし、推定相続人に限らず、遺言を遺した方にとって近しい方に通知をすることができるようになりました。
     今までに遺言を保管した方についても変更届け出により、対象者を追加することもできるとのことです。
     自筆証書遺言書保管制度は令和2年7月から運用がはじまったので、今後もより便利に利用ができるように改善されていくのではないかと思っています。また変更点などありましたら、お知らせしたいと思います。

    詳しい内容については、法務省のホームページもご参照ください。
    自筆証書遺言保管制度(通知について)

  • 養育費の無料相談会の様子がニュースになりました。

     先日行われました養育費の無料相談会について、SBC信越放送のニュースで流れて記事になっていましたので、ご紹介いたします。
    子どもの貧困の要因にも 司法書士会が子どもの養育費に関する無料電話相談 長野 | SBC信越放送
    ここをクリックする記事がみられます。

     当日は私も相談員として参加しましたが、養育費や離婚に関するさまざまな内容の相談があり、対応させていただきました。相談会前に事前研修を受けましたが、今はいろいろな制度や権利が認められてきており、子どもをめぐる福祉も少しずつ充実してきて、過去できなかったことも今はできるようになったりしています。

     長野県司法書士会では毎週水曜日に夫婦・親子に関する無料電話相談を行っています。
     こんなこと相談してもいいのかな、大丈夫なのかなと心配されることもありますが、相談するなかでいろいろと考え、悩みも整理することができますので、ぜひご活用ください。

    夫婦・親子に関する無料電話相談
    時間:毎週水曜日の12:00-15:00
    電話番号:026-232-2110
    内容:親権、扶養義務・離婚と住宅ローン・離婚による財産分与、養育費面会交流など

    気になること、知りたいことなどありましたら、当事務所でも大丈夫ですので、ひとりで抱えこまずに、まずはご相談いただければと思います。

  • 事務所のロゴマークができました!

     ずっと以前から事務所のロゴマークを作りたいと思っていましたが、今年、知り合いの方の親族の方がデザイナーということを知り、早速お願いをし、作っていただきました。

     よくみると「たじま」になっているのが、わかるでしょうか。
     親しみやすく、やわらかい感じで、かわいいデザインのロゴマークにしたい!というもりだくさんな無茶なお願いを、デザイナーの方にうまく形にまとめていただきました。
     本当にありがとうございます!

     このロゴマークのように、これからもみなさまにとって親しみやすい事務所を目指していきたいと思います。
     
     実はデザイナーの方から提案していただいたデザインで気に入ったロゴマークがもうひとつあり、今後、どのように活用しようか考えています。また、お披露目するときがきましたら公開したいと思います。

  • 子どものための養育費電話相談が実施されます。

     長野県司法書士会、長野県青年司法書士協議会、全国青年司法書士協議会共催で、
     「子どものための養育費相談会」が実施されます。
     当日は全国統一のフリーダイヤル(無料)で、全国どこからでも相談が可能です。
     内容については、秘密厳守で行います。

     期日:令和5年9月2日(土)
     時間:午前10時から午後9時まで
     電話:0120-567-301
     内容:養育費の支払いがない
        コロナ禍で支払いが困難になった
        取り決めの方法や内容が知りたい など

     チラシはこちらになります。
     「全国一斉 子どものための養育費相談会」

  • 黒表紙の本

     今回は少し不思議な話を書きたいと思います。
     夏はテレビや雑誌、ネットなどで怖いもの特集が多く、小学生の頃はジェイソンが登場したり、ジョーズが迫ってくるだけで、指の間からしか画面がみられなかったのが、今ではホラー小説や実話怪談を読んだり、ゾンプラやYoutubeでホラー映画やモキュメンタリーなどを楽しんだり、すっかりホラー好きになり、夏はホラーをたっぷり楽しめる大好きな季節です。自分自身、霊感といわれるものは全くなく、怖い体験をしたことはないのですが、少し不思議な、気持ち悪いなと感じた経験があります。

     今から4~5年ほど前にホラー作家Mの黒表紙の本を某有名古書店で購入しました。作家Mは土着的なホラーや戦前戦後の時期を舞台にしたものも多く、江戸川乱歩や横溝正史が好きな自分にとって、とても好きな作家でようやく見つけて購入した一冊であり、家に帰ってすぐに読み始めました。登場人物、舞台設定の説明が終わったあたり、ちょうど20ページ目くらいで、ページをめくったら右側のページ全体が黒いボールペンのようなものでぐしゃぐしゃに落書きされていました。子どもがグーでペンを握ってぐしゃぐしゃに書いたそのような感じの落書きで、読めなくはなかったんですが、読む気が一気に失せてしまい、あまりいいことではないですが、その本はそれ以上読まずに、捨ててしまいました。

     それから2年くらい経ち、某有名古書店で同じ本を見つけました。以前買って読まずに捨ててしまったことを思い出し、好きな作家の本なので買い直しました。そしてうちに帰ってきて読みはじめたところ、また黒いボールペンのようなものでぐしゃぐしゃに落書きされたページが出てきました。もしかしたらこの本はこういう仕掛けがあるのかもしれないと思い、某大型通販サイトのその本のレビューをざっと見ましたが、落書きについて、書かれた内容はなく、捨ててしまったので確証はないんですが、今回は前よりもっと進んだページに落書きされているように思い、だれかのいたずらかと思いましたがいたずらにしては買った人の反応を見ることができないし、買った年も店舗も違うので、あり得ないかなと思い、それ以外の理由も思いつかず、不思議でなんだか気持ち悪いなと感じ、今回も最後まで読まずに捨ててしまいました。

     そして、先日、某有名古書店のセールで、同じ本を見つけました。少し買うのに抵抗を感じたんですが、読みたい気持ちには勝てず、中のページをざっと見て落書きがないことを確認してから購入しました。まだ読み始めていないですが、三度目の正直で今回は最後まで読めればと思っています。

  • 相続についての電話相談がとても増えています。

     長野県司法書士会では月曜日から金曜日まで、相続、登記手続、消費者トラブルなど、さまざまな内容について電話無料相談を受け付けています。
     受付をしている内容、曜日、時間等は下記のとおりで、登録した各司法書士が輪番で対応しています。

                内   容曜  日時  間電話番号
    相続(遺言、遺産分割、相続放棄など)月曜日~金曜日12時~15時026-232-6110
    登記手続(土地・建物、会社や法人など)月曜日~金曜日12時~14時026-232-9110
    消費者トラブル・少額トラブル月曜日~金曜日12時~14時026-233-4110
    会社法務(会社設立、事業承継など)月曜日12時~15時026-232-2110
    借地借家(貸家の明渡し、契約の更新など)火曜日12時~15時026-232-2110
    夫婦・親子(親権、扶養義務など)水曜日12時~15時026-232-2110
    成年後見木曜日12時~15時026-232-2110
    インターネットトラブル(ネット通販、ネットオークションなど)金曜日12時~15時026-232-2110
    生活困窮者支援(生活保護、借金問題など)月曜日15時~18時026-233-1000
    労働トラブル(不当解雇、ブラックバイトなど)水曜日17時~19時026-232-2110

     先日、ちょうど相続の電話相談を担当しましたが、8月3日の「司法書士の日」に信濃毎日新聞に広告が載った影響もあり、とても電話が多く、昨年の同じ時期の4倍の相談を受けました。昨年度より1時間延長になっているとはいえ、関心がとても高まっていること、あまり身近なことではないので手続きなどに不安を強く感じていることもうかがえました。

     よく受ける相談について、まとめてみました。
     Q:「すでに相続が始まっている場合、来年の4月までにしなければならないのですか?

     A:相続登記の義務化は来年令和6年4月1日からはじまりますが、すでに相続が発生している場合には、来年令和6年4月1日から令和9年3月31日までに登記を行わなければならないことになっていますので、来年の4月までに相続登記をする必要はありません。また相続登記がすぐにできない場合には相続人である旨の申告制度もありますので、なにがなんでも今すぐ相続登記をしなければならないということはなく、まだ猶予はありますので、遺産分割協議が終わっていない場合、時間がかかりそうな場合も焦らなくても大丈夫です。

     Q:「不動産の相続が発生したときはまず何をしたらいいですか?

     A:被相続人の遺言がある場合は遺言に従いますが、被相続人が遺言を遺していない場合、まず①亡くなった被相続人が持っている不動産が何か、納税通知書や市資産税課などで取得できる名寄帳などで確認をします。次に②相続人がだれか、被相続人の出生から死亡までの戸籍をたどりながら確認します。戸籍の取得の際は市民課などの窓口で「相続登記手続きの際に使用したいので亡くなった〇〇の出生から死亡までの戸籍をお願いします」と伝えることで、スムーズに受け取れると思います。そして、③相続人間で、誰がどの不動産を受け取るか話し合いをし、その内容を遺産分割協議書という形でまとめ、登記の申請を行います。
     なので、まずやることとしては、遺産がなにか、相続人がだれかを、把握、確認することが大切です。

     Q:「相続登記の義務化前に今のうちにできることはありますか?

     A: 私としてはもし財産を誰に渡したいか決まっているのであれば、遺言を遺すことを、まだ決まっていない場合にはぜひ財産目録やエンディングノートを作ってみることをおすすめしています。相続人は被相続人がどんな財産、例えばどの金融機関のどの支店にお金を預けていたか把握していないことが多いので、財産目録は亡くなったあとに金融機関や保険などの手続きがスムーズにできること、エンディングノートは実際に書いてみることでこれからどう過ごしたいかということや自分が亡くなったあとどうしてほしいかが具体的に見えてくることが多いからです。もし何か取り組みたいとお考えの方はぜひエンディングノートを手に取ってみてください。
     県司法書士会と法務局共同で作成したエンディングノートもあります。ぜひご活用ください。
     「エンディングノート」長野地方法務局/長野県司法書士会

  • 「すまいの終活セミナー」が開催されます!

     令和5年8月6日(日)に長野県司法書士会と長野県共催による「すまいの終活セミナー」が開催されます。
     今回はZOOMを使ったオンライン方式での開催で、午後1時半から午後3時半まで
     【第1部】長野県の空き家問題と対応策7選! 講師:司法書士 宮澤先生
     【第2部】空き家が売れない2つの理由 講師:㈱KLC代表取締役 小林弘典氏
     になります。
     申込は次の申込フォームよりお申込みください。
     【URL】https://forms.office.com/r/XQ5WyFjTaN
     【締切】令和5年8月5日
     詳細についてはこちら ↓
     住まいの終活セミナー開催について

     直前のご案内になって申し訳ありません。ご自宅から気軽に参加することもできますし、後日、内容の一部見逃し配信も予定されているようです。
     買おうとした不動産の所有者が不明だった、相続した不動産にだれかわからない人の抵当権がついていたということが最近、とても増えてきています。そうなってしまわないように、対応策とこれから空き家を相続しそうだけれど今のうちにできることなど、知ることができますので、興味がある方はぜひこの機会に参加してみてください。

     また、本日から相続登記特別相談を9日(水)まで行っております。気になることがありましたら、どんなことでもお気軽にお問い合わせください。

  • 司法書士の日クイズキャンペーン!

     日本司法書士連合会のホームページで、8月3日の司法書士の日にあわせて今年もクイズキャンペーンを行っています。(応募期間:令和5年8月9日(水)まで)
     正解者から抽選で50名様に2,000円分のオリジナルQUOカードがプレゼントされます。
     クイズは「令和〇年4月1日、相続登記が義務化に」(丸の中に入る数字を答えるものです。)
     ヒントは、確か来年からはじまるような・・・・。
     認知度的に当選率が高そうな予感がしていますが、よかったら、ぜひ応募してみてください。
     ↓こちらから参加できます!
     日本司法書士連合会クイズキャンペーン

  • そろそろ梅雨明け

     2023年上半期もあっという間に過ぎ、今週末には梅雨明けになりそうです。

     梅雨明けでいつも思い出すのが大学1年生の試験最終日のことです。試験期間が終わったちょうどその日が梅雨明け日で、午前中で試験を終えて、雲一つないからっと晴れ渡った空の下、友だち何人かと一緒に解放感とともに、山(大学が山のうえにありました。)から自転車でおりて街に遊びに行ったことを思い出します。そのときにKISSの「Destroyer」(4人のKISSのメンバーが廃墟のガレキのうえで立っているジャケットのアルバムです。)を買ったので、この時期になるともれなくこのアルバムのことを思い出します。夏の暑苦しい季節に暑苦しい音楽をついつい聴いてしまうのも、このときの影響なのかもしれないなと思いました。

     先日やってみた私を構成する42枚のページがとても楽しく便利だったので、2023年よく聴いたアルバム16枚をまとめてました。


     サブスクリプションの影響で、アルバム1枚を聴くよりもsingleとして曲単位で聴く機会が増えて、自分の音楽の聴き方もApple Musicで気に入った曲からアーティストに注目するということが多く、上半期もいろんなバンド、グループを聴きましたが、一番よく聴いたのがLyrical SchoolというRapグループでした。もう何年も前からグループ名知っていたんですが、1曲耳にひっかかったらどんどんほかの曲も好きになってしまい、今まで出たアルバムすべて買いそろえてしまいました。夏の曲が多いので、まだまだずっと聴き続けそうです。今まで少し苦手だったRapも抵抗感がなくなったのも大収穫で、まだまだ新たなジャンル、いける!と自信を持ちました。
     yoasobiの「アイドル」の中毒性、K-popの勢い、破壊力はとてもすごいな、これは完全に沼だなと感じたり、REIRIE大復活(元旦初日から大興奮)、でんぱ組とギターウルフのまさかのコラボなど、個人的に嬉しいニュースもたくさんありました。そういえば、結束バンドも。ぼっちちゃんをみて、久々にギターを触ってみたりもしました。

     暑い時期が続きますが、体調に気をつけて、日々楽しみながら、みなさまもお過ごしください。

  • 2級FP技能検定の受験をしました。

     5月に2級FP技能検定の試験があり、先日合格発表があり、無事、合格することができました。

     司法書士として業務を行っていく中で、相続税のこと、土地を売買した際にかかる税金のこと、最近何かと話題になっている年金やNISAのことなどについて、専門的なことについては税理士の先生や社会保険労務士の先生などにお願いしていくことになりますが、自分としても概略として知っておきたいこと、どういう制度でどういう内容なのか知りたいと思っていて、ちょうどファイナンシャルプランナーという資格がよさそうと思い、一念発起して受験をしました。
     ひさびさに参考書と問題集を買ってきて空いている時間に過去問を解いてわからないところの該当テキストを読むという勉強をして、学生時代のことや司法書士の受験勉強をしているときにもどったようでとても新鮮で、とても楽しく勉強することができました。(受験後の合格発表までのちょっとしたいやな間もひさしぶりに味わいました。)
     加えて司法書士業務もですが、制度改正が頻繁にあるので、きちんと最新知識を仕入れていかなくてはと、初心にかえる思いも味わいました。
     なにはともあれ、合格できて、とても嬉しいです。
     

  • 新制度「1分ちょっと動画」

     令和6年4月から始まる「相続登記の義務化」など新制度を身近に感じていただこうと、日本司法書士連合会と法務省が全面協力して静岡県司法書士会が制作した「新制度1分ちょっと動画」をご紹介します。
     ぜひ、ご覧ください。

    第1話 トウキツネは困っています

    https://www.youtube.com/watch?v=i_4CjG1amEk&feature=youtu.be

    第2話 おばあちゃんの相続

    https://www.youtube.com/watch?v=HAZ_y_8PIQ8

    第3話 急げ!遺産分割

    https://www.youtube.com/watch?v=GMoEvNbHMFE
  • 認知症になるとできなくなること、できること

    先日、認知症基本法が成立しました。

     令和5年6月14日に認知症基本法が成立しました。認知症予防を推進しながら、認知症が発症しても尊厳を持ちながら社会の一員として尊重され、希望を持って暮らすことができる社会の実現を目的に、国や自治体の取り組みを定めた法律です。
     認知症の方の人数は2020年に約602万人、2025年には約675万人になると予想されており、65歳以上の5人に1人、国民の17人に1人が認知症になると予想されています。認知症を患ってしまうと、なかなか自分のことがうまく表現できなくなったり、徘徊してしまったり、人に迷惑をかけるのではないかという不安や心配から、家の中に閉じこもり気味になってしまうことが多いと聞きます。ただ、そうして家のなかに閉じこもってしまうと、外の刺激や人との交流がなくなってしまい、さらに認知症の症状が悪化することがあることも指摘されています。
     この法律ができることで、医療、福祉サービスが充実するとともに、認知症でも社会活動に参加できる機会が増えること、認知症の方やご家族などが集まれるオレンジカフェなどが地域にたくさん増えるといいなと感じています。

    認知症になった場合、例えば不動産の売買とかはどうなるの?

     認知症になると、今までと同じようにできること、できなくなることがあります。
     例えば、次のようなことは認知症になった場合できるでしょうか。
     ①施設に入ったので、今まで住んでいた不動産を売買して、今後の費用にすること
     ②自分の医療費や介護費用を支払うための預金の払戻し
     ③遺言書の作成
     ④会社の役員を続けること
     ⑤選挙権

     ひとつずつ考えてみたいと思います。

    ①不動産の売買契約

     不動産の売買契約をするには、民法上、意思能力が必要になります。具体的には、「自分の持っている不動産をAさんにいくらで売る」という意思になります。
     認知症になり、重度でものごとを判断する能力を失っている=意思能力がないと判断された場合、売買契約が無効になってしまいます。そこで、認知症になった場合、売買契約をする意思能力があるかどうかの判断が非常に重要になります。(売買契約後に、売買契約当時、意思能力がなかったと判断されるとさかのぼって売買契約は無効になります。)そのため、認知症で施設に入ることになったけれど、その費用を捻出するため、認知症の方が持っている自宅を売りたい、そんな場合でも安易に売買契約を結ぶことはできず、意思能力があるのかどうか、慎重に判断していくことになります。(司法書士も売買契約に立ち会った際、意思能力などを慎重に確認を行います。)
     認知症になった場合、安全に不動産取引を行う方法として、成年後見制度を利用するなどの方法が考えられます。成年後見人は成年被後見人である認知症の方の代理人として、家庭裁判所と調整しながらになりますが、必要性が認められれば、不動産を売買することが認められています。

    ②預金の払戻し

     認知症を発症し判断能力が大きく低下したことを銀行が知った場合、銀行は口座を凍結することがあります。これは本人の預金は本人が管理することが基本であり、認知症になり判断能力が低下し、口座の管理能力がないと銀行が判断した場合、本人の口座を守るため口座を凍結します。そうすると、認知症の方が自ら生活費や医療費、介護費用を自分の口座から支払うことが難しくなります。一方で、家族が認知症の方の口座から払戻しができるかというと、原則、本人しか口座から払戻しができないため、認知症の方の生活費や医療費、介護費用を家族が立替えるということが発生します。
     この場合も成年後見制度の利用が考えられます。成年後見人が成年被後見人の代理人として、口座を管理し、認知症の方の口座からかかった生活費、医療費、介護費用を払うことができます。
     また、2021年2月18日に全国銀行協会が高齢者との金融取引、親族との代理等に関する考え方を発表し、この問題についての指針をまとめました。これにより、銀行によって事前に親族が代理人届等を提出することで家族による引出しを認めているケースもあるようですので、まずは銀行と相談することもおすすめします。

    ③遺言書の作成

     遺言書の作成については、遺言能力(意思能力)があるかどうかが問題になります。遺言能力があると判断された場合、自筆証書遺言、公正証書遺言ともに作成することが可能ですが、遺言能力の有無については判断がとても難しく、遺言作成者が亡くなった後に、遺言作成時に遺言能力があったかどうか裁判で争いになるケースも多くあり、遺言能力がないと判断されるとさかのぼって遺言が無効となってしまいます。
     遺言能力があるかどうかできる限り客観的に、また大勢の目で見て判断することが望ましいので、医師による診断書を取得し、公正証書遺言を作成することがいいのではないかと思います。
     なお、成年被後見人は、事理を弁識する能力を一時回復した時は、医師2人以上の立ち会いがあれば、遺言をすることができます。

    ④会社の取締役などを続けること

     以前は認知症を患い、成年被後見人になってしまうと取締役などの役員に就任することはできず役員を続けることはできませんでしたが、会社法が改正され、令和3年3月1日以降、認知症などにより事理弁識能力が欠く状態にあっても後見開始の審判を受けることで、会社の役員に就任することができるようになりました。
     ただ、会社と役員の関係は民法の委任に関する規定にしたがい、民法上、受任者である役員が後見開始の審判を受けると委任契約が終了するものとされることから、後見開始の審判を受けるといったん役員の地位を失い、再度就任することが必要になります。こうすることで成年被後見人になったとしても会社の取締役などを続けることが可能となります。

    ⑤選挙権

     認知症になり成年被後見人になった場合、以前は選挙権、被選挙権がありませんでしたが、平成25年5月に公職選挙法が改正され、成年被後見人の方についても選挙権・被選挙権を有することが認められました。成年後見制度は財産管理が主な目的であり、本人の意思の尊重から認めらえるようになったと考えられます。


     認知症に対するイメージについて、徘徊する、言葉が通じない、何度も同じことをくり返す、などマイナスな言葉で語られることが多く、なんだか接しにくそうというイメージがあります。確かにそういう部分もありますが、昔、習っていたこと、仕事でずっとやってきたことなどの職人技は失われることなく今も変わらずでき、私も介護の現場などで何度も見てきました。その能力を活かすことができる場があれば、認知症の方にとっても私たちにとってもwin-winの関係になると思います。そのために、認知症に対する理解を深めること、そのためにお互いに触れ合う場面、機会を増やすことが必要なのではないかと思います。認知症基本法ができることで、少しずつそのような社会になればと思います。

  • もうすぐ4年目

     6月9日で、司法書士として仕事をはじめて、4年目となります。
     小学生でいったら4年生で高学年の仲間入りのあたり。自分が小学生だったころを振り返ると、林間学校だったかな、キャンプをして楽しんだり、少し遠くの祖父母の家に一人で泊まったり、友だちと自転車で少し遠出をしてみたり、少しずつ自立しはじめる頃だったかなと今の自分に重ねて考えてみました。

     
     ご依頼いただきましたお客さまのみなさま
     お仕事でご一緒させていただく関係者のみなさま
     困った時に助けていただく先輩であり師匠の司法書士の先生、同期の先生のみなさま
     改めて、いつもありがとうございます。


     「石の上にも三年」のことわざにもありますが、まずは3年間やりきることが一つの区切りだと思っていたので、無事、4年目を迎えられることにとても感謝しています。(「石の上にも三年」、つらいことでも耐えれば報われるという意味ですが、司法書士という仕事が苦痛というわけではなく、3年間が一区切りという例えで使っています。)
     
     不思議なもので、毎年、毎年少しずつ難しい事例や頭をフル回転して対応する事例が増え、それに伴い経験値も少しずつためていくことができたと感じています。リアルにRPGをやっている、そんな感覚がありました。
     同時に、まだまだ自分自身、未熟だと感じている部分も多々あり、これからも知識、スキルを磨いて、少しでも多くの方のお力になることができたり、ご依頼いただいた方の望みをかなえたり、形にすることができる司法書士になりたいと思っています。
     4年目は少し何か新しいことに挑戦できたらと思ったりもしていますが、しっかりした足固めといろいろな余裕づくりも継続して行っていきたいと思っています。
     これからも当事務所をよろしくお願いいたします。


     田島司法書士事務所
     田 島 喬 樹

  • 私を構成する42枚をやってみました。

     私を構成する42枚という自分の好きなCD、アーティストなどをまとめた画像をSNSで見ていてとても楽しくて、自分でも作ってみました。


     作ってみたら予想どおりとても楽しくて、あっという間に時間がとけていきました。
     自分が10代から20代を中心に影響を受けたアルバムで、各アーティスト1枚にしぼりました。
     そのときの気分や時期によって入れ替わりますが、一番上の10枚がおそらく不動の10枚だと思います。
     アーティストごとにどのアルバムにするか相当悩んだり、42枚が多いようで少なくて、泣く泣く外したアルバムもたくさんあります。(そのアルバムも紹介したい。。)
     ジャンルごと、国ごと、年代ごと、考えはじめると、止まらないです。

     私を構成する42枚の作成方法ですが、こちらのサイトで作成をしています。
     Topters 2: last fm collage & album chart maker

     左上の「Album,artist, or URL」にアルバム名やアーティスト名を入れると、下にジャケットが出てきますので、それをクリックして、右側の枠にドラッグをすることで、作ることができます。
     「show options」をクリックすると、アルバムタイトルを入れるかどうか、アルバム枚数何枚にするか(最大144枚までできます。)など設定できますので、よかったらみなさんもやってみてください。

    アルバム紹介(上段から左→右の順になります。)(一言コメント随時追加中です。)
    AC/DC「AC/DC Live」
     高2の冬、友だちと少し遠くの街に電車で行った時にタワレコで買った。AC/DCで初めて買ったアルバムがライブアルバムで、このあと聴いたスタジオ盤はなんだか物足りなく感じた。熱量がものすごい!
    Atari Teenage Riot 「60 Second Wipeout」
     ノイズまみれのデジタルハードコア。それまであんまりデジタルサウンドを聴いたことがなくて、出た当時、タワレコでたくさん並んでてどんな音なんだろうとわくわくしたのを覚えてる。大学卒業後、悶々としていた時にイヤフォンで爆音でよく聴いた。今でももやもやした気分の時によく聴く。
    BABYMETAL 「BABYMETAL」
     メタルの魅力に改めて気づかされ、自分をメタルに引き戻した主犯格。2014年の武道館2Daysが楽しすぎて、ライブによく行くきっかけにもなった。かわいく、楽しく、かっこよく、激しい。
    Carcass「Heartwork」
     デスメタルはボーカルが苦手だったり、歌メロディが感じられなくてずっと手を出さずにいたけれど(高校の時にIn Flamesを友だちから貸してもらって聴いてもらった時もわからなすぎてそのまますぐに返却)、20代前半、名盤といわれるアルバムを集中して聴いていた時期に、このアルバムも推薦されていて。おそるおそる聴きはじめた1曲目のギターソロがあまりに美しくて耳を奪われて、以来ずっと聴き続けている大好きなアルバム、バンド。デスメタル、グラインドコア、ブラックメタルなども聴くことができるようになったのは、このバンドがあったからこそ。(In Flamesの借りたアルバムも買い直して今ではお気に入り。)今年、初ライブに行って、その時の1曲目がこのアルバムの1曲目で、初めて聴いた時のことを思い出して、テンションがすごく上がった。(掟ポルシェさんももちろんいた!)
    The Flaming Lips「The Soft Bulletin」
     いろんな音がこれでもかと積みこまれていて、情報量が過多で、でも一切無駄に感じられず、音に必然性が感じられて、頭の中がどういう仕組みになっているんだろうと、聴くたびに常に発見がある。音の万華鏡。
    The Hellacopters「Supershitty to the Max!」
     アルバムの1曲目が「(Gotta Get Some Action)Now!)(勝手な和訳:今すぐ行動を起こせ!)」で、聴くと「とりあえず、今すぐやってみようぜ!」と喝が入る気持ちになる。デビューアルバムの1曲目はそのバンドが好きになるかどうかかなり重要な曲になると思うのだけれど、このアルバムの1曲目は自分の中で大成功すぎて、バンドもずっと大好きだし、悩んでいるとき、迷っている時に聴いて、よくお尻を蹴飛ばしてもらう。
    Husker Du「New Day Rising」
     タイトルから自分の中で勝手に”夜明けのアルバム”に位置づけていて、聴くとエネルギーがもらえる。実際、ざらついた厚いギターサウンドの壁からメジャーコードの甘いメロディが溢れ出すところはいくつもの光のようで、自分の思いもまんざら間違いではないと、勝手に思っている。
    Jim O'rourke「Eureka」
     ジャケットのインパクト!タワレコでアルバムジャケットを見て「かわいい!」、間違いなく自分の好きな音だと確信してジャケ買いした。その自分勝手な期待をまったく裏切らず、20年以上聴き続け、アルバムを集め続けている本当に大好きなアーティストのひとり。「Eureka」が映画「Eureka」の主題歌で宮﨑あおいの確かデビュー作。宮﨑あおいも映画を見て以来、ずっとファン。
    KISS「Alive!」
     高2にあがる前の春休みに聴いて次の日、発熱し寝込んでしまったのは風邪のせいか、このアルバムのせいだったのか。歌舞伎のようなメイク、怪獣のようなコスチューム、おどろおどろしい雰囲気、自分にとって好きな要素しかなかった。それでどんな極悪サウンドかと思うと、スタジオアルバムは案外上品で、キャッチーなロック。でもライブになると途端に野蛮になって、熱量、パワーがすごい。(後年、かなりスタジオでいじったと知ったけれど。)ギターのエースフレーリーのフレーズとトーンが大好きで、この時期の彼の手には魔法が宿っていたと思う。
    perfume「⊿」
     「GAME」も大好きだけど、大名曲「love the world」が入っているので「⊿」、でも「GAME」には「チョコレートディスコ」が入っているし、と永遠に悩み続けることができる。ピコピコサウンドに加工された無機質なボーカル、シンクロしたダンス、初めて見て聴いた時に、近未来の音楽だって思った。無機質なんだけれど、機械的ではなく3人の温かみが感じられて(特にライブでのMC)、そこもとても好き。「ポリリズム」前後、まだそこまで爆発的に売れてなくて、車で聴いてたら売れないアイドルってバカにしてた元彼女、彼女たちはこんなに人気になったぞ!。2008年サマソニで観てたら雪崩が起きて横倒しになったのはいい思い出。
    Aerosmith「Get a Grip」
     高3のときにほんとによく聴いて、朝の目覚まし代わりにタイマーでセットしていて流していた。大学に入ってからジョーペリーモデルのレスポールを買うくらいジョーペリーが好き。
    Deafheaven「Sunbather」
     ブラックメタルミーツシューゲイザー、意味が分からなくて聴いたら納得、トレモロもうなり声も、音がキラキラ光っている。傑作。
    Deep Purple「Purple Chronicle」
     高校受験のあと、音楽を聴くのが解禁になって買ったボックスセット。
    Guitar Wolf「Jet Generation」
     ロックンロールの野蛮さがつまっている。ロックで殺せ!「UFOロマンティック」も傑作。
    The Jam「In the City」
     大好きなアーティストPaul Wellerの原点。リッケンバッカーの音が最高。
    The Jon Spencer Blues Explosion「Acme」
     ジョンスペが好きで、その一枚となるとこのアルバム。ジョンスぺのドラッグ中毒の友だちを救うために一緒に前身バンド「Pussy galore」をしていたという男気あふれるエピソードが大好き。
    Maison Book Girl「image」
     矢川葵ひとめぼれからの変拍子。この音楽性があったから最初から最後までずっと好きでい続けられたのかもしれない、甘くないアイドルグループ。
    Rancid「...And Out Come the Wolves」
     初めてパンクがかっこいいと思ったバンド。ここから、The Ramones、The Clash、The Jam…とパンクも聴くようになった自分にとってパンクの入り口になったアルバム。
    Spiritualized「Ladies and Gentlemen We Are Floathing in Space」
     音の洪水。ヘッドフォンで聴くと、轟音の只中で漂っている気持ちになれる。
    The WiLDHEARTS「The Best of The WiLDHEARTS」
     20代前半、一番聴いて、一番影響を受けたバンド。
    でんぱ組.inc「WORLD WIDE DEMPA」
     キャッチーでハッピー!(歌詞は時にダーク)等身大のアイドル像が新鮮で、夢中になってよく聴いた。一番好きな曲は次のアルバムの「サクラあっぱれーしょん」。
    bloodthirsty butchers「未完成」
     この前のアルバム「kocorono」と悩むところ、1曲目の「ファウスト」が大好きなので。ジャケットのジミー大西の描いたジャケットもインパクト大。
    Buono!「The Best Buono!」
     ピザーラおすすめ!のCMを見て気になって、調べて聴いたら、すっかりハマる。ももちは最強のアイドル。
    Iron Maiden「Best of the Beast」
     いろいろな時代に好きな曲があるのでベスト盤で。多感な時期にバンド名でいかがわしいバンドと思って手を出してよくわからなくて大人になってから深みにハマっていったバンド。
    Johnny Thunders「So Alone」
     東京に引っ越した時に初めて買ったCDで、よく聴いた。
    JUDY AND MARY「The Power Source」
     ピンク色のケースのアルバムといえば、このアルバム。
    The Mad Capsule Markets「Digidogheadlock」
     10代後半の初めて聴いた時、何もかもが新しすぎて、頭の中で情報が処理しきれなかった。今聴いても全くあせない。
    Metallica「Metallica」
     98年の日本武道館公演。仙台から新幹線で東京に、不安でおどおど、きょろきょろして電車を乗り換えながら、黒いTシャツの人々がナビになって無事に会場に辿り着けた。ラスト、アンコールで「Battery」をやっている時に帰りの新幹線の時間で泣く泣く会場を後に。あの時の異様な盛り上がりは忘れられない。
    Thee Michelle Gun Elepant「Gear Blues」
     アベさんに続き、チバさんまで。音、ファッション、たたずまいがトータルで最強のアルバム。
    Mr.Big「Lean Into It」
     90年代半ばに中高を過ごして洋楽を聴いた人がほぼ通ったのでは、くらいBon Joviと共に人気があった。御多分に洩れず、よく聴いた。
    Number Girl「SCHOOL GIRL BYE BYE」
     長いのに無茶苦茶ワクワクする最高のイントロをもつ「Omoide In My Head」が入ったアルバム。
    The Replacements「Sorry Ma,Forgot to Take Out the Trash」
     初期衝動をそのまま音にした感じが潔くて気持ちよくて、むしゃくしゃしたときに聴くとスカッとする。メロディも最高にいい。
    The Smashing Pumpkins「Mellon Collie and the Infinite Sadness」
     大学受験勉強のお供だった。
    The Who「Who's Next」
     「Won't Get Fooled Again」がとにかく好き。
    X Japan「Jealousy」
     ジャケットと音楽のインパクトが中学の時に衝撃的だった。パンクを知ってから初期「Vanishing Vision」(中学時代に手が出しづらかった)の良さにも気づいた。
    きゃりーぱみゅぱみゅ「もしもし原宿」
     かわいい世界へようこそ!最高にハッピーな気持ちになれるアルバム。
    くるり「TOWER OF MUSIC LOVER」
     地元に戻ってきてからしばらくの間、よく聴いた。
    椎名林檎「無罪モラトリアム」
     このアルバムと「勝訴ストリップ」が出た頃の椎名林檎が大好きすぎて、結婚したいと本気で思う、そんな人々の一人だった。
    中村一義「ERA」
     地元に戻ってきてからしばらくの間、よく聴いたVol.2。
    森高千里「Taiyo」
     高校受験のいやし。明治チョコレートのCMをやっていてグッズが欲しくてたくさんチョコを食べた記憶が。江口洋介、にくかったなぁ。
    矢川葵「See the Light EP」
     最推し。かわいいのにしゃべるとやわらかい関西弁のギャップもまた。今は昭和アイドルソングのカバーやNight TempoさんプロデュースのFANCYLABOとして活動中。





     

  • 相続人である旨の申出制度について

     相続人である旨の申出制度(相続人申告登記制度)とは、令和6年4月1日から、相続により不動産を取得した人は相続登記の申請をしなければなりませんが、相続登記の申請義務のある人が登記官に「自分が相続人です!」と申し出をすることで、相続登記の申請義務を行ったとみなされる制度です。

    なぜ、相続人申告登記制度ができたの?

     令和6年4月1日以降、相続が発生してから3年以上、相続登記の申請をしなかった場合、10万円以下の過料となる可能性がありますが、いきなり義務化されても、どうやって申請をしたらいいのだろうか、必要な書類はなんだろうか、と困ってしまう方が多数だと思います。

     被相続人のなかには、たくさんの遺産を持っている場合や相続人がたくさんいる場合もあり、だれがどの遺産を取得するのか遺産分割協議に時間が長くかかることがあったり、不動産の名義が先々代になっていて、相続人がだれかを特定するのに非常に時間がかかることもあります。

     そこで、登記官に「私が相続人です!」と申告することによって、相続登記の義務を果たしたとすることで、少しでも負担を減らすことがこの制度の目的になります。

    手続きの仕方

     ①不動産の所有権の登記名義人に相続が発生したこと、②自らが相続人であることを、登記官に申し出をします。
     
     申し出をすることができる人は、相続、遺言、遺贈により不動産の所有権を取得した人です。
     相続人が複数人いた場合でも特定の相続人が単独で行うことができます。
     必要な書面としては、①申出をする相続人が被相続人の相続人であることがわかる書類(一般的には被相続人の死亡した日が分かる戸除籍謄本、被相続人が死亡した日以後に発行された相続人の戸籍謄本等になります。)、②申出人の住所証明情報(住民票の写し等)になります。また相続関係説明図を添付した場合、戸除籍謄本等及び住民票の写しが原本還付され、法定相続情報一覧図の写しを提出または法定相続情報番号を提供することにより、①の添付に代えることができます。
     相続関係説明図については相続による不動産の名義変更の登記の際は、相続人全員を載せなければなりませんが、相続人申出書の場合には全員を載せる必要はなく、申出をする相続人が被相続人の相続人であることがわかる部分のみ載せることで足ります。

     不動産の名義変更の際に必要となる登録免許税について、相続人申告登記の際は課されず、非課税となります。

    効果

     申し出をすることで、相続登記の申請義務を行ったことになりますので、10万円以下の過料を免れることができます。(ただし、相続人が複数人いた場合、申し出を行った相続人だけが申請義務を行ったことになり、ほかの相続人は、相続登記の申請義務を行ったことにならない点に注意が必要です。)
     不動産に、「相続人である旨の申出があったこと」、申し出をした人の氏名・住所等が登記されるので、登記簿をみることでまだ遺産分割協議等が終わっていないことやだれが相続人かわかることになります。

     ただ、相続人である旨の申出は一時的なものなので、申告をした相続人が不動産を取得したことにはならないですし、その後、遺産分割協議を行い、所有権を取得したときは、原則として、遺産分割の日から3年以内に、所有権の移転登記を申請しなければならないことになり、正当な理由がないのにその登記の申請をしなかった場合は、10万円以下の過料となる可能性があることに注意が必要です。

     最終的には相続登記をしなければならないことを考えると、相続人である旨の申出を行う場合は、遺産分割協議に3年以上かかるような場面、例えば、相続人が非常にたくさんいて遺産分割協議がまとまらないような限定的な場面で利用されるのではないかと思っています。

  • 漫画による司法書士業務の紹介

     今回は日本司法書士連合会が作成した、相続手続き、遺言書作成の支援、悪徳商法によるトラブルについて、漫画で紹介するパンフレットをご紹介します。このパンフレットではあわせて聴覚障がい者のための相談方法についても触れています。漫画なので読みやすく、手続きの流れも把握しやすいと思うので、ぜひご覧いただけたらと思います。
     聴覚障がい者への相談対応の中で司法書士が手話通訳の方と協力して相談にあたる場面がありますが、私たちの仕事は様々な場面で行政機関との連携が欠かせません。(行政の方々にはとても感謝しています。)
     1人の力では解決できない問題にもいろいろな方との協力により、解決に近づけることも多くあります。困っている方々の力に少しでもなることができたらと考えております。何かありましたら、お気軽にご相談ください。

    漫画による司法書士業務紹介パンフレット(聴覚障がい者のための困ったときの法律相談案内)
  • 遺言を遺したほうがよいと思われるケースについて

     相談会などに参加していて、遺言を遺したほうがいいかどうかの相談を受けることがよくあります。
     そこで、今回、私が関わってきたり、本を読んだりしたなかで、遺言を遺しておいたほうがいいと思われるケースをまとめてみました。
     ※下図で(被)は被相続人(相続される人)になります。
     またかっこのなかは相続分になります。例えば、(1/2)は相続分が2分の1ということを表しています。

    ①子のいない夫婦のケース

     右の図で、被相続人が亡くなったときに親がいれば、妻(2/3)と親(1/3)が相続人に、親がともに亡くなっていれば、妻(3/4)と被相続人の姉(1/4)が法定相続人となります。
     そのため、被相続人がすべての財産を妻に遺したいと考えた場合、遺言を書く必要があります

     なお、「全財産を妻に相続する」と遺言を遺した場合、直系尊属である親には遺留分がある点は注意が必要です。(この場合の親の遺留分は1/3になります。)

     また、妻と被相続人の姉が相続人となったものの、何も手続きをしないまま、姉が亡くなってしまった場合、被相続人の遺産について、姉の相続人と妻の間で、遺産分割協議を行うことになります。この場合、妻と姉の相続人間は疎遠なことも多く(住所、連絡先が分からない)、遺産分割協議を行うこと自体困難になってしまうケースもあります。

    ②相続人同士の仲があまりよくないケース

     右の図で、兄と弟がともに自立しているけれど、お互いに疎遠で、あまり仲がよくなく、被相続人が亡くなった場合、妻(1/2)、被相続人の子である兄(1/4)、弟(1/4)が法定相続人となります。

     遺言を遺さずに相続が発生した場合、遺産を分けるには遺産分割協議が必要となりますが、遺産分割協議は相続人全員で合意する必要があります。しかし、相続人同士の仲があまりよくない場合、どの遺産をだれが引き継ぐかで揉めてしまい遺産分割協議がまとまらない可能性があるため、争続を未然に防ぐ手段として、遺言を遺しておくことはとても有効だと思います。その際、妻も直系卑属である子も遺留分がある点は注意が必要です。

    ③不動産が唯一の遺産というケース

     不動産が唯一の遺産で、相続人が複数人がいる場合、不動産を相続人間で共有する、または相続人の1人が不動産を取得して、不動産を取得した相続人がその他の相続人に代償金を払うケースが多いと思います。

     不動産を共有した場合、その後さらに相続が発生して共有者が増えるなど、登場人物が増えることによって、後々売却をしようとしたときに難しくなる可能性があります。
     また、実際によくあるケースとして、兄弟ふたりが相続人で、兄が家を継ぎ、弟が金銭などを引き継ぐとあらかじめ口約束をしており、実際に相続が発生したところ、土地・建物以外の遺産がまったくなく、弟が遺産分割協議に同意せず、家庭裁判所で遺産分割調停になるケースもあります。
     そのため、このようなケースでは、口約束だけではなく、遺言をしっかり遺しておくことが大切だと思います。

     その際、なぜ遺言を遺すのか、また不動産をどうしてほしいのかを遺言の中で加えておくと、相続人に気持ちが伝わるのではないかと思います。

    ④配偶者の連れ子がいるケース

     右の図で、被相続人が亡くなった場合、法定相続人は先妻との間の子(1/2)と後妻(1/2)になります。

     被相続人の後妻の連れ子は被相続人の法定相続人でないため、もし後妻の連れ子に相続させたい場合、あらかじめ被相続人と後妻の連れ子を養子縁組をするか、遺言を遺す必要があります。

    ⑤内縁関係にある夫婦のケース

     内縁関係の夫婦はお互いに相続権がありません。そのため、財産を譲り渡したい場合、遺言が必要となります。

    ⑥法定相続人の中に連絡が取りづらい方や行方不明の方がいるケース

     遺言がなく、遺産を分け合う場合は相続人全員の合意が必要となりますが、その際、連絡が取れない方がいると、遺産分割協議をするのに、家庭裁判所での手続き(行方不明者の方に必要となる不在者財産管理人を弁護士などにお願いする、認知症の方には成年後見人をつけてもらう)が必要になるなど、非常に時間や手間がかかることになりますので、この場合も遺言を遺しておくことはとても有効だと思います。

     以上、遺言を遺しておいたほうがよいと思われるケースをまとめてみましたが、実際にはこんなに単純ではないと思いますし、いろいろな感情が入る場面でもあると思います。
     また、エンディングノートを書いたりする中で、自分の財産をどうしようかという考えが浮かんでくることもあり、そのような場合は自分の意思を大切に、遺言を遺したほうがいいのではないかと私は思います。
     こういう場合はどうだろう、というケースや悩んでいる方がいましたら、お気軽にお問い合わせいただければと思います。

  • 相続土地国庫帰属制度がはじまりました。

     本日、令和5年4月27日より、相続土地国庫帰属制度がはじまりました。
     当ブログでも概要についてまとめてみましたので、よかったらご覧ください。
     相続土地国庫帰属制度について
     法務省パンフレット
     相続土地国庫帰属制度のご案内

     まだ始まったばかりの制度であり、制度の利用にあたり、不安な点が多いかと思います。
     私も手さぐりになりますが、不明な点などについては関係機関に確認しながら、対応していきたいと思っております。
     興味がある方、気になることがありましたら、お気軽にご連絡ください。

  • ほおっておけない空き家問題について

     多くのメディアで空き家問題が話題になっていますが、今回は空き家問題について少しまとめてみました。

    なぜ空き家が問題になっているのか

     総務省によると、全国の総住宅数6242万戸のうち空き家は846万個と空き家率が13.6%となっており、長野県は空き家率19.5%で約5軒に1軒が空き家となっています(平成30年調査)。そして10年後の2033年には3軒に1軒が空き家になるのではないかといわれています。
     
     空き家がふえることで、
     ①雑草、悪臭や虫の発生源になり、周囲の環境に悪影響がある
     ②空き家への不法侵入、放火や不法投棄、空き家が倒壊するおそれがある
     ③空き家や土地を活用できず、地域の発展を阻害してしまうおそれがある など
     の問題が発生し、年々多くの深刻な影響をもたらしています。

    空き家を解体してしまえば・・・

     それでは空き家を解体すればよさそうですが、そういうわけにもいかない事情があります。
     例えば、土地の固定資産税について、土地に住宅が建っていることで最大1/6に税額が軽減されますが、土地を更地にしてしまうとこの軽減措置がなくなってしまい、土地の固定資産税が最大6倍にあがってしまいます。また解体した場合、解体費用として100万円から300万円程度かかってしまいます。

     そのため、空き家を解体した場合には費用もかかるし、税金も増えるし・・・ということで、そのままにしているケースや空き家のままずっと相続登記をしておらず、空き家の名義が祖父や曾祖父などのままでどうしたらいいかわからないというケースもあると思います。

    空き家対策に関する法律

     増加する空き家への対策として、平成27年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」(通称:空家等対策特別措置法)が施行されました。
     この法律では
     ①空き家の管理責任は所有者(相続人)または管理者にあるとし、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう適切な管理に務めること
     ②適切に管理されていない空き家を「特定空家」に指定することができ、特定空家に指定されると固定資産税の優遇がなくなり、土地の固定資産税が最大6倍になる可能性があること、市町村長は特定空家に対して助言・指導・勧告・命令ができ、改善されない場合には市町村が所有者等に代わって空き家の解体などを行うことができ、その際に支出した費用は所有者等の負担となること
     などが定められています。

     特定空家とは
     ・そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
     ・そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
     ・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
     ・その他放置することが不適切な状態があたるとされています。
      
     市町村が特定空家にあたると認定した場合には、土地の固定資産税の優遇措置がなくなり、指導等がなされ、場合によって市町村が解体し、その費用がまるごと請求されてしまう可能性があります。

    空き家対策としてできること

     空き家を売買・賃貸など活用したい場合には次のようなことが対策として考えられます。

     ①空き家バンクの活用
     市町村では空き家の所有者から提供された情報を、空き家の利用希望者に紹介する制度があります。
     松本市にもホームページがあり、物件が紹介されています。
     松本市空き家バンク
     
     ②相続登記
     空き家を売買するには空き家の所有者であることが必要ですが、例えば、何代か前に相続が発生していて自分が相続人のひとりだけれど、他にも相続人がいてどうしたらいいかわからない場合には、相続登記を行うことが考えられます。司法書士は、登記情報を読みとり、権利関係の把握、戸籍謄本の取得等による法定相続人の調査、遺産分割協議の作成から相続登記申請手続の代理まで、一貫して行うことができます。

     ③成年後見制度
     空き家の所有者が認知症などにより売買の当事者になることができない場合には成年後見制度を利用することが考えられます。成年後見人は成年被後見人の代理人として財産管理や処分する権利があります。空き家は重要な財産であることが多いので、家庭裁判所と相談しながらになりますが、空き家対策について、前向きに検討を進めることができます。

     また、まだ空き家になっていないうちにできる対策としては次のようなことが考えられます。

     ①遺言
     遺言を遺すことで、不動産を確実に承継することができます。

     ②生前贈与
     建物を生前に子どもや孫に贈与することで、建物の利活用を早めに進めることができること、相続トラブルを起こりにくくすることができます。ただ、贈与税などの税制度に注意する必要があります。(税制度については税理士の先生が専門になります。)

     そのほかにも遺品整理や断捨離を行う、建物の査定やリフォーム・解体をした場合の費用の見積もりなどを一度行ってみるというのも今後の第一歩になると思います。

    空き家について困ったら・・・

     ・空き家となった土地を隣の人が購入したいと言っている。亡くなった祖父名義なのでどうしたら・・・
     ・親が入院し、退院の見込みがなく、実家が空き家になっている。今後の管理などはどうしたら・・・
     ・両親が亡くなり実家は兄弟で相続したが、だれも住んでおらず、活用したいけれど、兄が今どこにいるのかわからずどうしたら・・・

     など、お困りのことがありましたら、ぜひ一度ご相談ください。
     問題解決に向けて、一緒に考えていきたいと思っています。

  • 相続登記の義務化について

     令和6年4月1日より、相続登記申請の義務化されます。
     そこで、制度の概要について、まとめてみました。

    相続登記の義務化とは

     ①相続または相続人に対する遺贈(遺言による贈与)により不動産を取得した相続人は相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならず、②法定相続の割合により相続登記申請後に遺産分割が成立した場合、当該遺産分割の日から3年以内に所有権移転登記をしなければならないことになります。

     不動産の名義が現在、生きている方の名義になっているのであれば、大丈夫ですが、亡くなっている方の名義になっている場合には、令和6年4月1日以降、3年以内に相続登記をしなければならず、また令和6年4月1日以降に相続が発生した場合、その相続によって不動産を取得したことがわかったときから3年以内に相続登記を申請する必要があります。

    制度の目的

     現在、所有者不明土地の割合が約22.2%(すでに九州本島の面積を超えており令和22年には北海道本島の面積に近づくのではないかと推計されています。)であり、その大きな原因のひとつに相続登記の未了があること(所有者不明土地のうち約65%が相続登記をしていない土地になります。)、所有者不明土地になってしまうと、土地の利用やライフラインの敷設が困難であったり、管理不全により景観が損なわれたり、倒壊や放火の危険性等があることから、これ以上所有者不明土地を増やさないようにすることにあります。

    もし相続登記をしなかった場合には

     正当な理由がないにもかかわらず相続登記の申請をしなかった場合、10万円以下の過料が科されることがあります。
     正当な理由としては
     ・相続を放置したために相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の必要な資料の収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケース
     ・遺言の有効性や遺産の範囲等が争われているケース
     ・申請義務を負う相続人自身に重傷等の事情があるケース などがあります。

    注意点

     令和6年4月1日の前に相続の開始があった場合にも相続登記の申請の義務が発生し、その場合には令和6年4月1日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。そのため、今現在、不動産の名義が亡くなっている方の名義になっている場合には早めに対応していくことをおすすめします。

     遺産分割協議などがなかなかまとまらない場合には、相続人である旨の申出制度(相続人申告登記制度)があり、相続人である旨を登記官に申し出ることで、相続登記の申請義務を行ったとみなされる制度もあわせて新設されることになりました。
     この制度につきましてはこちらの記事をご参照ください。
     相続人である旨の申出制度について


     相続登記は戸籍等の書類の取得や遺産分割協議書の作成などで時間がかかることがあり、その対応している間にさらに相続が発生し、遺産分割などをやり直す必要が出てくることもあります。相続登記がまだされていない場合には、ご早めの対応をご検討ください。内容、費用等について、知りたいことなどありましたら、当事務所までお気軽にご連絡ください。

  • TAJIMA SHIHO-SHOSHI LAWYER(メタル風)

     新しいアルバムが出ることで全世界がお祭り騒ぎになる、そんな数少ないバンドのひとつMETALLICA。
     その象徴的なロゴを公式ホームページで作ることができるというので、さっそく試してみました。


     司法書士を英語で表記すると「Judicial Scrivener 」というようですが、日本司法書士連合会で使用している「Shiho-shoshi lawyer」がわかりやすいので、こちらのほうで作成してみました。
     「Shiho-Shoshi」が真ん中にくるので、司法書士が強調されて、見やすくかっこよく感じました。

     新しいアルバム「72 Seasons」ですが、「72 Seasons」とは72の季節=最初の18年間という意味のようで、自分のアイデンティティを確立する18歳までの期間を意味しているようです。少し聴いた感触はMETALLICAのルーツにさかのぼっているのかなと思いつつ、聴きこむとどんどん印象が変わるバンドなので、じっくり長く聴きこんでいきたいです。そしてライブにもまた行きたいです。
     ちなみに今年はBABYMETALのアルバムも出ましたが、こちらも最高でした!

  • 親亡き後の問題 ~将来に備えて~

     親亡き後問題とは、親が障害のある子どもの支援をしているところ、将来、親が亡くなったり、判断能力などが低下した場合に、子どもの財産管理や身上保護をだれがどうやって行うかという問題です。
     障害のある子どもについて、お金の管理や役所の手続きを親がしていることが多いと思います。ただ親が高齢となり、認知症を発症するなど、もし何かあった場合、子どものお金の管理や役所への手続きを頼む人が身近におらず、子どもが孤立してしまい、生活が不安定になってしまう可能性があります。最近ではテレビ、新聞、インターネットなどで特集されていることもあり、社会的に注目されてもいます。今回はそうなる前にできることを、少しまとめてみたいと思います。
     対策としては、①法定後見制度の利用、②任意後見制度の利用、③遺言の利用、④民事信託の利用などがあげられると思います。

    ①法定後見制度の利用

     子どもに判断能力がない場合には、法定後見制度を利用することが考えられます。

     その際、当初は親が後見人等となって本人を支援し、親が亡くなった場合には家庭裁判所が新たな後見人を選任するリレー方式の方法
     親族間で複数人が後見人等なり、親が亡くなった後も残った親族が引き続き支援する方法
     親とともに司法書士、弁護士などの専門職後見人等となり、親が亡くなった後は専門職後見人等が引き続き支援する方法

    が考えられます。ポイントとしては当然ですが支援を途切れさせず、親の思いをつなげていくことにあります。

    ②任意後見制度の利用

     子どもに任意後見契約を結ぶ判断能力がある場合、親も子どもも信頼できる人との間で任意後見契約を締結する方法があります。
     支援を任せたい人、任せたい事務内容を決めることができるので、本人の意思を尊重した支援を期待することができます。

    ③遺言の利用

     障害のある子ども自身に遺産を多く残したり、子どもの支援を任せたい親族に多く遺産を渡す代わりに自分が亡くなってからの支援を依頼することができます。ただ、自分が亡くなってからの支援を確実に望めるわけではないので、注意が必要です。

    ④民事信託の利用

     信託とは、財産を持っている人(委託者)が信頼できる人(受託者)に、その財産の運用で利益を得る人(受益)のために、自分の財産の管理や処分する権限を任せる制度です。
     例えば、家族などにアパートなどの財産の管理を任せ、そこから出た利益などを障害のある子どもである受益者に渡したりすることが考えられます。民事信託を利用することで、親が亡くなっても障害のある子どもの生活資金を確保することができ、親が亡くなった後でも複雑な相続手続きを経ることなくスムーズに障害のある子どもをサポートすることができます。

     以上にあげた4つの制度を組み合わせることもできます。ただ、それぞれの制度にももちろんメリット、デメリットがあり、どうやって対応していくか検討するのに長い時間が必要だったりします。将来に備えて、少しずつ考え、準備していくことが大事ではないかと思います。

  • 4月1日より買戻特約の抹消が簡略化に!

     2023年4月1日から、所有者不明土地問題の解決のため、来年度からはじまる相続登記の義務化とあわせて民法、不動産登記法が改正されています。
     主なものとして、所有者不明土地管理人制度の創設、共有関係・相隣関係・相続関係の見直し、相続人に対する遺贈による所有権移転の登記手続、登記義務者の所在が知れない場合等における登記手続の簡略化などがあります。
     
     今回、個人的に注目したい改正は、登記義務者の所在が知れない場合等における登記手続の簡略化のうち、買戻特約の抹消の簡略化です。
     不動産を売買した場合、買戻し特約をつけることがあります。これは不動産を売った後に売主が売買代金と契約費用を払うことで買い戻すことができるもので、おおざっぱにいうと、一度売るけれど、やっぱり惜しくなったらお金を払って取り戻すことができる権利になります。そして買戻特約は10年を超えることができず、10年経つと売主は買戻ができなくなります(権利そのものがなくなります)。この特約をつけた場合、その内容を登記することができますが、この特約がついたまま不動産を新たな第三者に売ろうとすると、せっかく不動産を買っても元の売主によって買い戻されてしまい不動産を失ってしまうリスクがあるので、買戻特約を消さないと買いません!と言われてしまうことがあります。10年以上経って権利がなくなっていてもです。

     そこで、特約を消す必要がありますが、今までは買戻特約を消す場合、買戻ができる元の売主の協力を得る必要がありました。新しいものについてはあまり問題になりませんが、かなり古い買戻特約の場合、元の売主が亡くなっていたり、行方不明になっていることがあります。この場合、相続人をさがす、不在者財産管理人をつける必要などがでてきます。10年以上経っていて、元の売主が買戻できない場合にもかかわらず常に協力が必要なので、買戻特約を消すためのハードルも非常に高くなっており、年に何件か買戻特約がついた不動産の取引に関わることがありますが、それが相当古いものだった場合、取引をあきらめざるを得ない場合もありました。

     今年の4月1日から、買戻し特約がついていて、売買契約から10年以上経っていれば、不動産の持ち主は売主の協力なく、買主が単独で買戻特約を消すことができるようになりました。これによって、買戻特約の抹消へのハードルが一気に低くなり、不動産の取引がしやすくなるのではないかと思います。

     改正についてはこれからも気づいたことがありましたら、随時発信していきたいと思います。

  • 相続時の不動産の名義変更の流れ

     相続が発生した場合、まず①だれが相続人か②なにが相続財産か(今回の場合、被相続人の持っていた不動産がなにか)確認する必要があります。
     そして、③その相続財産をだれが取得するのかを確認し、不動産の場合、不動産を取得した相続人が名義変更の手続きを行うことになります。

    だれが相続人なのか確認する方法

     相続人は配偶者と子、直系尊属(被相続人の父母など)、兄弟姉妹になります。
     このうち、配偶者は常に相続人となり、子、直系尊属、兄弟姉妹には順番があり、第一順位として子、子がいなかった場合、第二順位として直系尊属、子・直系尊属がいなかった場合、第三順位として兄弟姉妹になります。
     
     被相続人の相続人がだれか確認するには、被相続人の出生から死亡までの戸籍を取得して確認をします。
     通常、一つの戸籍に出生から死亡まで載っていることはなく、婚姻があった場合、法令に基づき戸籍が改製された場合などに新たに戸籍が編製されるため、除籍謄本、改製原戸籍など数通の戸籍をたどることになります。
     戸籍は本籍地のある市区町村ごとに管理されていますが、婚姻等により本籍地が他の市町村へ移った場合には、移った先の市町村が戸籍を管理しているため、本籍地の変更があった場合、移る前と移った後のそれぞれの本籍地で戸籍を取得する必要があります。

     例えば、松本市で生まれて婚姻して安曇野市に戸籍を新たに作った場合、
     出生から婚姻までは松本市に戸籍を発行してもらい、婚姻から後は安曇野市で戸籍を発行してもらいます。

    なにが相続財産なのか確認する方法

     被相続人が持っていた不動産を確認する方法として、「固定資産税・都市計画税納税通知書」や被相続人が保管していた「登記済権利証」や「登記識別情報」により、確認する方法があります。
     またこれらの書類がない場合には市区町村ごとに被相続人が所有していた不動産を確認することができる「名寄帳」により確認することができます。「名寄帳」については各市区町村の固定資産税課などで取得することができます。

    不動産の取得者の確認について

     もし被相続人が遺言を遺していた場合、その遺言にしたがって不動産を取得することになります。また、遺言がない場合は相続人全員で遺産分割協議を行い、不動産を取得する人を決める、または法定相続分より取得する(法定相続で相続人が複数人いる場合は、相続人が不動産を共有する)ことになります。

    不動産の取得者が決まったら

     不動産を取得する相続人が不動産を管轄する法務局へ不動産の名義変更の登記申請を行います。

     名義変更に必要となる主な書類として
     ①法定相続の場合
      被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
      被相続人の除票または戸籍の除附票
      相続人全員の戸籍謄本
      不動産を取得する相続人の住民票の写し
      固定資産税評価証明書

     ②遺産分割協議の場合
      被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
      被相続人の除票または戸籍の除附票
      相続人全員の戸籍謄本
      遺産分割協議書
      不動産を取得する相続人を除く相続人全員の印鑑登録証明書
      不動産を取得する相続人の住民票の写し
      固定資産税評価証明書

     ③遺言の場合
      遺言書
      被相続人の死亡がわかる戸籍謄本
      被相続人の除票または戸籍の除附票
      不動産を取得する相続人の戸籍謄本
      不動産を取得する相続人の住民票の写し
      固定資産税評価証明書

      ※主なものを載せています。個別の事情により、必要となる書類が変わることがあります。

    最後に

     当事務所では、相続人の特定の段階から被相続人の所有している不動産の確認、遺産分割協議書の作成、書類は揃えたので登記の申請からお願いしたいなど、どの段階からでもサポートすることができます。
     ぜひお気軽にご相談ください。

  • 相続の放棄について

     相続が開始すると、相続人は原則として被相続人が持っていたすべての財産を引き継ぎます。この財産には不動産や預貯金などの積極財産に加えて借金などの消極財産も含まれます。そこで不動産や預貯金などのプラスの財産より借金が多かった場合、相続人が借金を抱えてしまうことは酷であること、被相続人の財産を引き継ぎたくないと考える相続人がいることもあり、その意思を尊重する必要があります。そこで、相続人には被相続人の財産を引き継ぐか放棄するかの選択権が認められています。
     今回は、相続放棄の内容、手続き、効果について、まとめてみました。

    内容

     相続の放棄とは、相続開始による財産を引き継ぐ効果を全面的に拒否し、初めから相続人でなくなることをいいます。

     相談会などで「亡くなったお父さんが持っていた一部の土地だけ放棄することができますか?」という相談を受けることがよくありますが、被相続人の一部の財産だけを放棄するということはできず、被相続人の一切の財産を引き継ぐか(承認)、引き継がないか(放棄)しかなく、例外として、相続した財産の範囲内で被相続人の債務を弁済し、余りがあれば相続できるという限定承認の制度があります。

    手続き

     相続を放棄したい相続人は、「自己のために相続が開始したことを知ってから」3ヵ月以内に、家庭裁判所にその旨を申述しなければなりません。 
     「相続放棄申述書書式例」(裁判所)

     相続放棄申述書を家庭裁判所に提出してから、その申述が相続放棄者本人の意思によるものか確認するため、家庭裁判所から放棄者に照会書が郵送され、それに回答することで、家庭裁判所が相続放棄の申述を受理するか否かの審判が行われます。
     自分で行った場合、費用は郵送料などで約3,000円ほどになります。

     ここで例えば、
     ①被相続人とまったくの疎遠になっており、亡くなっていることを何年間も知らなかった場合、
     ②被相続人が、すべての財産を処分したので財産は全くないと相続人に前もって伝えて亡くなり何も手続きをしなかったが、数年後、被相続人名義の不動産が発見された場合、
     相続の放棄をすることができるか問題になることがあります。

     この点、「自己のために相続が開始したことを知ってから」がいつの時点になるか問題になりますが、最高裁判所は「原則として、相続開始の原因たる事実(被相続人の死亡の事実)を知り、かつ、これにより自己が法律上相続人となった事実を知った時をいうが、この各事実を知った場合であっても、3ヵ月以内に限定承認または相続放棄をしなかったことが、被相続人に相続財産がまったく存在しないと信じたためであり、そのように信ずるについて相当な理由があると認められるときは、3ヵ月の期間は、相続財産の全部または一部の存在を認識した時または通常これを認識できる時から起算すべきである」としています。

     すなわち、上記の①の場合には被相続人の亡くなったことを知った時から、②の場合は被相続人の死亡の事実と自分が法律上相続人となった事実を知り、かつ相続財産がまったくないと信じていたことに相当の理由があり、財産の存在を認識したときから3ヵ月以内であれば、相続放棄をすることができます。
     そのため、場合により、被相続人が亡くなってから、何年か後に相続放棄の手続きをする、ということも考えられますので、財産がまったくないと思っていたのに、急に財産が出てきた場合にも落ち着いて対応することが大切です。

    効果

     相続の放棄をすると、その相続に関しては初めから相続人とならなかったものとして扱われます。
     また、原則としていったんした相続放棄は撤回できません

     例外として、例えば、だまされたり、うそをつかれて相続放棄をした場合には相続放棄の意思表示の取消しを、認知症などで意思能力がなく相続放棄をした場合には相続放棄の意思表示は無効になります。この相続放棄の意思表示の取消しについては、追認することができる時から6ヶ月間、放棄をしてから10年間、何もしないでいると時効により消滅してしまいます。

     また、相続放棄をした場合、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、次順位の相続人または相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならないことに注意が必要です。この点は令和5年4月1日より改正されました。


     相続が発生すると様々な手続きで3ヵ月はあっという間にきてしまい、相続を承認するか放棄するか判断する間もないことも多いと思います。できれば、早めにエンディングノートなどを利用して、財産目録などを作成して、それを推定相続人と共有しておくことも大切だと感じています。
     手続きについて、知りたいことなどありましたら、お気軽にご相談ください。

  • 高齢者の方の抱える不安と司法書士ができること

     日本司法書士会連合会から新たな動画がアップされました。
     内容は高齢者の方が感じる不安、例えば、施設に入るにあたり自宅を離れなければならなくなった時などに出てくるであろう問題とそれに対して司法書士としてできることが簡潔にまとめてあります。ぜひご覧ください。

    https://youtu.be/wczIg3SRMtc
  • むずかしい抵当権の抹消

     相続関係の相談を受けたり、相続登記の手続きをしていると、もれなく不動産に抵当権などがついていることがよくあります。
     抵当権は家を買ったときや作ったときに金融機関とのローン契約とあわせて設定されることが多く、もうローンを完済しているから消すのは簡単だろう、いつでも消せるだろうと思われるかもしれませんが、難しくなるケースもあります。

     個人的に今までかかわった中で困難な場合をあげると、

     ①個人的にお金を貸し借りして個人の方が抵当権者になっていたが、その方がなくなり相続が発生している場合
     今は個人の方が抵当権者になることはあまりないですが、かつてはよくありました。会社と違い人なので亡くなることがあり、その場合、その抵当権者の相続が発生することになります。なくなってから早いうちであれば、抵当権者の相続人は誰か、借金を返しているかどうか確認することができますが、それをそのままにしていると、お金を借りた経緯、返したかどうか、相続人がだれか、どんどんわからなくなります。そうなると必要な手続きが増え、必要となる書類、費用が何倍にも増える可能性があります。

     ②抵当権者である金融機関等の会社が合併などですでになくなっている場合
     この場合、ローンを完済した時期が会社がなくなった前か後かで必要になる手続きが変わってきます。
     ローン完済後、会社がなくなった場合、抵当権を抹消する原因が発生したのちに会社がなくなっているので会社の債権を合併後の金融機関が引き継ぐことはありません。
     ローン完済前に、会社がなくなった場合、その金融機関が持っていた債権を合併後の金融機関が引き継ぐことになるので、抵当権者の名義の変更の登記が必要になってきます。平成以降、金融機関の統廃合が多く行われているので、抵当権者である金融機関が今はもうない場合には注意が必要になります。

     もし持っている不動産を売りたいと思ったけれど、抵当権がついていた場合、買主としては不動産を買ったとしても抵当権が実行され失ってしまうリスクがあるため、抵当権を消さないと買ってもらえないこともあります。ローンなどを完済して抵当権を消したい場合には当事務所にお任せください。その他、仮登記、買戻特約など不動産についているけれど、どうしたら・・・などお困りなことがありましたら、松本市の田島司法書士事務所までお気軽にご相談ください。

  • 遺言の書き方講座を行いました。

     先日、地域の福祉講座の講師を行い、生前に準備をしておきたいことのなかで主に遺言について、遺言の種類や遺しておいたほうがいい場合、書き方などを約60分間お話しさせていただきました。遺言に関するクイズや遺言書の文例から間違い探しをしたり楽しみながら20名以上の方に参加していただき、講座終了後、いろいろな質問も出てみなさんの関心の高さを感じました。
     なかでも一番びっくりした声があがったのが遺言をすることができる年齢についてのクイズでした。成人年齢が20歳から18歳に引き下がったので、みなさんも18歳から20歳になったら遺言を遺すことができると感じていたようですが、実際は15歳からできることにとてもびっくりされたようです。実際、自分自身、15歳のときに遺言を遺すことができることを知っていたかどうかというと、知らなかったような気がします。

     遺言を含め生前の準備のことになるとあまり前向きな話ではないので、ちょっとなぁと思われる方もいると思います。ただ準備をするなかで昔やりたかったことや行きたかったところ、会いたい人などを思い出したり、これからやりたいことにつながったり、心の整理にもなるのかなと感じています。また遺言についても、財産が少ないから自分は関係ないと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、財産の多寡に限らず、不動産のみが相続財産である場合、兄弟姉妹のみが相続人である場合など遺しておいたほうがよい場合があります。こんな場合はどうだろうなどありましたら、お気軽にご相談いただければと思います。
     また相続に関すること、成年後見制度など司法書士業務に関する講座やセミナーの講師依頼をお受けしております。
     松本市の田島司法書士事務所までお気軽にお問い合わせください。

  • 伝えることの難しさ

     先日、大学の後期授業で受け持っている日本国憲法の全15回の授業、試験を終えました。
     今年度で2回目、昨年度は初めてであり、コロナの影響でオンラインを使った授業もあり、なかなかおぼつかないこともありましたが、今年度はすべて対面式の授業ということもあり少し余裕をもって授業内容に取り組むことができたように思います。

     ただ、そうなると少しずつ欲も出てきて。学生のみなさんに憲法について、もっと関心を持ってもらいたい、知ってもらいたいという気持ちが出てきます。
     憲法に関する話題は事欠かず、一人一票裁判、再婚禁止期間の見直し、LGBTQ、信教の自由と政教分離の原則の関係、平和主義の考え方、改憲のことなど、毎日いろいろと出てきます。そのようなニュースを見て、学生のみなさんに憲法、人権を意識して考えたり、政治・社会、選挙に関心を持ってもらえたらと思い授業をしています。本当は一人ひとりに理解を確認しながら教えられればと思いつつ、200名を超える受講生がいるので、なかなかそういうわけにもいかず。それぞれの理解の仕方も早さも違うなかで知っておいてほしいこと、伝えたいことを一緒につめこんで授業をしています。

     そうなると今度は「伝える」ということは、とてもスキルが必要なことを感じます。内容が難しい話、専門的な話になると学生のみなさんがあまり集中できずにいることもあり、例えば、一生懸命、大きな声で話したとしても空回りになることも多く、授業がもっと楽しくなるにはどうしたらと考えたり、わかりやすく、伝えたいことをきちんと伝えるにはどうしたらいいか悩むこともあります。

     そんなときの心強い味方として
    『大人のための国語ゼミ」 著:野矢茂樹
    『「読む」技術』 著:石黒圭
    を参考にしたりしています。改めて国語を学び直している、そんな感覚です。

     なかなか学生を前に話をする機会、それもまとまった時間を得て話しをする機会はそうそうなく、その貴重な機会があることは非常にありがたいなと思います。せっかくのこの機会を無駄にしないように、日々いろいろなものを吸収しながらそれを自分のものとして伝えたり、発信していきたいと思っています。

    #nowplaying Gastr Del Sol 「Upgrade & Afterlife」

  • 相続土地国庫帰属制度について

     来年令和6年4月1日より相続登記等の申請の義務化がはじまりますが、それと並んで令和5年4月27日より相続等により取得した土地について、土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度がはじまります。こちらの制度について、概要等を少しまとめてみました。

    相続土地国庫帰属制度の概要

     相続土地国庫帰属制度とは、相続または遺贈(相続人に対する遺言による贈与)によって土地の所有権の全部または一部を取得した者から申請があった場合、一定の要件を満たしている土地について、土地の所有権を国に帰属させることができる制度です。ごく簡単に説明すると、相続などで土地の所有権を取得した場合に、一定の要件を満たすことで、国に手渡すことができる制度になります。
     例えば、土地を相続したものの住んでいるところから遠方であり、特に利用する意思がなく、売りたいと思ってもへき地であり、あまり需要がなく買い手などが現れず、相続登記をしなかったり、まったく管理しなくなってしまうことがあります。
     そこで、土地の所有権の放棄を可能とし、放棄した場合、国等の公的機関が管理する制度がこの制度になります。ただ、土地所有権の放棄を認めて国が管理するということは土地所有に伴う管理コストを国が負担すること、すなわち国民が負担することになります。そこで、一定の要件を満たした土地の場合のみに認められることになります。

    制度を利用できる人

     この制度を利用できる人は、相続や遺贈(ここでは相続人で遺言によって財産の贈与を受けた人になります。)によって土地の所有権や共有持分を取得した人(申請する際は共有者全員で申請する必要があります。)になります。

    申請することができる土地・できない土地

     申請することができる土地についてですが、要項では申請できない土地として以下の土地があげられています
     ①建物の存する土地
     ②抵当権などの担保権、地上権などの使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
     ③通路その他の他人による使用が予定されている土地として政令で定めるものが含まれる土地
     ④土壌汚染対策法に規定する特定有害物質により汚染されている土地
     ⑤境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地

     これらの土地に該当しない土地の場合に、申請することができると考えられます

    手続きの流れ

     承認申請書を土地を管轄する法務局の本局に提出、審査手数料の納付 → 調査、承認 → 負担金の納付となります。
     審査手数料は、土地1筆あたり14,000円です。
     対象となる土地は令和5年4月27日以降に相続した土地でなくてもそれ以前に相続した土地についても対象となります。

     承認を受けた場合、負担金を納付します。負担金は10年分の土地管理費用相当額となっています。
     原則として20万円となっていますが、例えば、住宅街の宅地、優良農地などは面積に応じて金額が決まり、200㎡程度の市街地にある宅地であれば80万円ほどが発生すると考えられます。

     以上、簡単な概要になります。
     詳細については、法務省のパンフレットをご覧ください。
     相続土地国庫帰属制度のご案内

     相続登記をしない土地はその土地に関心がない土地であることが多く、その場合、この制度を利用することが考えられますが、利用にあたっては要件の面、申請の面などで慎重に検討する必要があると感じています。司法書士も申請書の作成をすることができますので、もし気になる方がいましたら、当事務所までお問い合わせいただければと思います。ほかの制度とあわせて、一緒に検討していきたいと思います。

  • おすすめのpodcast「中元日芽香の「な」」

     司法書士の仕事をはじめて、思った以上に車で移動することが多く、半日以上移動なんて日もあったりします。移動中、音楽はもちろんpodcastで配信されているラジオなどをよく聴いています。今回はそのなかでよく聴いている配信をご紹介したいと思います。
     心理カウンセラーの中元日芽香さんがやっている「中元日芽香の「な」」という毎週月曜日の朝配信の15分くらいの番組で、スマホなどから無料で聴くことができます。
     中元日芽香の「な」 
     中元日芽香の「な」twitter
     中元日芽香さんは元乃木坂46で、今は早稲田大学在学中で認知行動療法やカウンセリング学を学び、心理カウンセラーの活動をしています。私はBABYMETALというアイドルユニットがずっと好きで、そのユニットのボーカルのsu-metalさんが中元日芽香さんの妹であることを知り、そこから乃木坂46での活動に興味を持ち、ライブに行ったりしていましたが、体調不良もあり乃木坂46をやめたあと、どうするんだろうと思っていたところ、本が出版され(アイドル時代から現在に至るまで体調不良のことも含めての自分を俯瞰した内容の本でこの本もとてもおすすめです。)、一昨年からpodcastがはじまりました。中元日芽香さんは乃木坂在籍中からオリエンタルラジオと一緒にラジオをやっていて聞き上手、引き立て上手で声もとても柔らかく聞きやすくて好きだなぁと思っていたので、まさに待望の配信スタートでした。
     内容はリスナーのいろいろな悩み、例えば、異動した先での仕事の不安や就職活動の悩み、自己肯定感を高めたいこと、過去の自分との向き合い方、ASDの息子を持つお父さんの悩み、気持ちの切り替え方など、を中元さんがリスナーと会話をしながら思いや感情を引き出し、こうやったらどうかなぁ、こう考えたらどうだろうなどいろいろな案を出しリスナーと共有していったりします。大人になるとなかなか人に悩みを話すことができなかったりします。それがこの番組を聴きながら、いろいろな考え方に触れることができるので、自分の抱えている問題のヒントになったり、なるほどなぁと思うことがあったり、傾聴や相づちの打ち方がリスナーにとても近くて、自分もこうやって人のお話を聴くことができたらなぁと思ったりします。
     podcastは初回からすべて聴くことができますので、興味があったらぜひ聴いてみてください。

  • LINEでのお問い合わせ・ご相談について

     当事務所では、無料通信アプリLINEにて、不動産登記、相続関係手続、成年後見などについてのご相談や業務内容の質問、面談のご予約を承っております。
     LINEによりご相談、予約等を行いたい際は、下のURLからまたは「友だち追加」ボタンから、田島司法書士事務所LINE@アカウントの友だち追加をお願いいたします。

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     相談内容例について
     ①土地・建物の登記(名義変更、抵当権の抹消など)に関すること
     ②住宅購入時、新築時の登記手続に関すること
     ③相続・遺言・成年後見などに関すること
     ④面談による無料相談のご予約
     ⑤取扱業務に関すること

     ※土・日・祝日につきましては回答が遅れることがあります。その点、ご了承ください。

  • 中津川市といえば・・・

     先日、仕事の関係で中津川市に行くことがありました。訪れるのはおそらく中学校の木曽旅行以来。そこでお客様と面談をし、中津川市名物の栗きんとんをはじめていただきました。
     長野県で栗といえば、小布施のイメージが強く、栗のお菓子は小布施のお菓子をいただくことが多かったので、中津川市の栗きんとんが有名ということを失礼ながら、初めて知りました。
     今回、川上屋さんの栗きんとんをいただきましたが、ひとつひとつ手作りであり、包装を開けた時点で栗のいい香りがして味は濃厚で、とても美味しかったです。ちょうど9月から12月が栗きんとんが美味しい時期ということも知り、その時期に中津川市に行けたこともラッキーに思いました。ほかにも栗きんとんで有名なお店があるということもお聞きしたので、今度行くときはぜひほかのお店の栗きんとんと食べ比べもしてみたいなと思いました。
     仕事で遠方に行ったときはどうしても仕事のことばかり考えてしまい、用事をすませて即帰社することがほとんどでしたが、少し余裕があるとき、もてるときはその土地の美味しいもの、名物に触れないとせっかく行ったのにもったいないなとあらためて感じました。特にお客様からおすすめしていただくものは旅行本などでは得られないその土地に住んでいるならではの貴重な情報が多いので、しっかりキャッチして食も楽しんでいきたいなと思いました。

  • 自筆証書遺言書保管制度について

     自筆証書遺言書保管制度とは、遺言者が法務局に自筆証書遺言の保管を申し出ることにより、自筆証書遺言を法務局で保管することができる制度です。

     自筆証書遺言は、全文、日付、氏名を自分で書き押印することで作成できるので、いつでもどこでも簡単に作ることができ、費用もほとんどかからないため、手軽に利用することができますが、せっかく書いてもなくしてしまう、生前に発見されて中身を書きかえられたり、捨てられたり、隠されてしまう、遺言者が亡くなった後、遺言が発見されず遺産分割が行われてしまうなどのリスクが発生する可能性がありました。
     そこで、自筆証書遺言を法務局で保管することができる制度が令和2年7月10日にできました。制度開始から令和4年12月末まで、46,435件の保管申請が行われています。
     この制度を利用することで、自筆証書遺言は通常、遺言者が死亡後、家庭裁判所の検認手続(相続人に対し遺言の存在と内容を知らせるとともに、遺言書の形状、日付、署名など遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続きでおよそ2か月くらいかかります。)が必要となりますが、自筆証書遺言書保管制度を利用した場合、検認手続が不要になります。
    そのほかにも
     ・遺言書の原本が法務局に保管されることで紛失や書き換えなどの防止につながる
     ・保管申請した際、遺言書保管官による遺言書の外形的な審査がなされることから、遺言書の形式不備による無効を防ぐことができる
     ・公正証書遺言を作成するよりも安価な手数料で利用することができる
     ・法務局の遺言書保管官から相続人などに対して通知がなされる仕組みにより、遺言書の早期発見と周知につながるなどのメリットがあります。

    ◎自筆証書遺言書保管制度の利用の流れ

     自筆証書遺言書の作成 → 法務局への予約 → 法務局に出頭し、保管申請 → 保管証の受取り

     自筆証書保管申請手数料は3,900円になります。
     保管期間は遺言書につき、50年間、遺言書に係る情報につき、150年間とされています。
      自筆証書遺言書保管申請後は、遺言書の閲覧、保管の撤回をすることができます。
     また、遺言者はもし自らが亡くなった場合、遺言を保管していることを相続人などに通知することの申出をあらかじめしておくことで、死亡後、相続人などに遺言書が保管されていることなどが通知されます。

     以上、自筆証書遺言書保管制度の概略になりますが、自筆証書遺言を作成した際はぜひあわせて保管制度を利用の検討をしてみてください。
     司法書士は遺言者から委任を受けて、自筆証書遺言書保管申請書を作成することができ、申請の際、同行することができますので、不明な点、利用したい際などお気軽にご相談ください。

    自筆証書遺言書保管制度の詳細については、下記リンク先をご参照ください。
    法務省パンフレット
     自筆証書遺言書保管制度のご案内
     遺言書保管申請ガイドブック

  • 死後事務委任契約について

     任意代理・任意後見契約は、本人が死亡すると、その時点で終了してしまいます。
     それでは、本人が死亡したとき、親類は亡くなったお兄さんの甥や姪がいるだけで、しかも会ったことがない場合、入院費の清算、葬式、納骨、遺産の整理はいったいどうなるのでしょうか。
     このような問題に対応するために、任意後見契約とあわせて定めておくと安心なのが、死後事務委任契約になります。

    死後事務委任契約の内容

     亡くなったあと、どのようなことをお願いしたいかは、委任者である本人と受任者(死後事務をお願いしたい人、任意後見人受任者が多いと思います。)との合意により、自由に決めることができます。
     実際には、葬儀の手配や病院や施設の医療費の支払いなどが多いです。

    死後事務委任契約でできること
    ・葬儀、埋葬などに関すること
    ・医療費などの支払いに関する事務
    ・施設利用料の支払いなどに関する事務
    ・行政官庁などへの届け出に関する事務
    ・家財道具、身の回りの生活用品などの処分
    ・相続財産管理人の選任申立手続 など

     任意後見契約をご検討の際には、あわせて死後事務委任契約もぜひご検討ください。

  • 任意後見制度について

     任意後見制度とは、将来、判断能力が不十分になったときに備えて、あらかじめ十分な判断能力を有するうちに、任意後見人になってほしい支援者と将来委任したい事務内容を公正証書による契約で定めておき、判断能力が不十分になった後に、支援者である任意後見人が委任された内容を本人に代わって行う制度です。

     例えば、
     ・今は元気だけれど、将来認知症などで判断能力が衰えたときに人に迷惑をかけたくない
     ・一人暮らしで、将来、入院したり、認知症になったりしたらどうしよう
     ・子どもがおらず、親族は兄弟姉妹のみで、将来のことが心配
     などといった場合に利用することが考えられます。

     任意後見契約でできることとしては、
     ・預貯金の管理
     ・定期的な収入、支出の管理
     ・介護保険サービス、施設入所などの契約
     ・不動産の売却
     ・行政官庁手続き(年金、税金の申告など)
     があり、このなかから将来任せたい事務内容を決めて契約を結びます。

     また、任意後見制度とあわせて見守り契約任意代理契約を行うことができます。これは、現在、判断能力に問題はないけれど、将来が不安で今から少しでも安心したい方や病気や障害などで財産の管理が難しい場合などに利用することが考えられます。
     ①見守り契約:判断能力が低下する前から定期的に面談をしたり、連絡をとったりすることで、生活の状況や健康状態を確認し、見守りを行います。
     ②任意代理(財産管理)契約:判断能力がしっかりしていても、病気などで身体を思うように動かすことができないなどの事情がある場合に、例えば通帳の保管や預金の引き出し、各種支払いなど契約で決めた手続きを代わりに行います。
     
    ◎任意後見制度の利用の流れ
     元気なうちに任意後見人、任せたい事務内容を決める → 公証人役場で任意後見契約を締結 → 判断能力の衰え → 家庭裁判所へ任意後見監督人選任の申立て → 任意後見監督人が選任 → 任意後見の開始

     任意後見契約は公正証書を作成する必要があります。費用として、公正証書作成基本手数料:11,000円、登記嘱託手数料:1,400円、法務局に納付する印紙代:2,600円、その他切手代などが必要となります。
     また任意後見契約は判断能力が衰えたと感じられたときに、本人、配偶者、四親等内の親族、任意後見受任者などが家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てを行うことではじまります。任意後見契約が開始すると、任意後見監督人が任意後見人の監督を行います。これは、任意後見人の不正な財産管理行為などを防ぎ、本人の財産を守るためにあります。
     任意後見人への報酬は、任意後見契約で決めた額が、任意後見監督人への報酬は家庭裁判所が決定します。

     法定後見制度との大きな違いは、判断能力があるうちに支援者と支援内容を選ぶこと、支援者である任意後見人を自ら選ぶことができることにあります。これからのことを任せたい人がいる場合には利用を考えてみるのもいいのかなと思います。もっと知りたいことなどありましたら、お気軽にご相談ください。

  • 法定後見制度について

     法定後見制度とは、認知症などで判断能力が不十分な方々の権利や財産を守り、意思決定を支援することを目的として、家庭裁判所によって選任された成年後見人などが本人を法律的に支援する制度です。

     例えば、
     ・物忘れがひどくなり、預貯金の管理がむずかしくなった
     ・親が外出中に行方不明になることがあり施設入所を考えている
     ・障害のある子の将来が心配、私たちが亡き後のその子のために
     ・父の入院費や施設利用料、生活費をまかなうために、父名義の株や不動産を売却したい
     ・訪問販売なのか使うはずのない健康器具で部屋があふれている独居の叔母が心配
     などといった状況がある場合に利用することができます。

     法定後見制度は、本人の判断能力の程度に応じて、「後見」、「保佐」、「補助」の3つの制度があり、それぞ成年後見人、保佐人、補助人が支援にあたります。判断能力があるかどうかは医師による診断書で判断します。

    ◎制度の概要

        後  見    保  佐    補  助
    対象となる方判断能力が欠けているのが通常の状態の方
    (日常の買い物などが難しく、ほとんど判断できない方)
    判断能力が著しく不十分な方
    (しっかりしている時もあり、日常の買い物はできるけれど、判断に迷うような重要な契約などができない方)
    判断能力が不十分な方
    (日常の買い物のほか重要な契約などもできそうだが、不安があるような方)
    申立てをすることができる方本人、配偶者、4親等内の親族、検察官、市町村長など   同  左   同  左
    成年後見人などの同意が必要な行為民法13条1項所定の行為(借金、訴訟行為、相続の承認・放棄、新築・改築・増築など)申立ての範囲内で家庭裁判所が審判で定める「特定の法律行為」(民13条1項所定の行為の一部)
    取消しが可能な行為日常生活に関する行為以外の行為   同  上   同  上
    成年後見人などに与えられる代理権の範囲財産に関するすべての法律行為申立ての範囲内で家庭裁判所が審判で定める「特定の法律行為」   同  左


    ◎制度利用の流れ
     申立て → 家庭裁判所の審判手続 → 審判が確定・登記 により、開始します。
     申立てから審判までの期間は、おおむね2か月以内であることが多いです。
     申立て費用は、収入印紙:申立て1件につき、800円~、登記手数料:2,600円、郵便切手代がかかります。なお、申立書の作成や申し立て手続きを司法書士や弁護士に依頼する場合は、別途報酬がかかります。

     法定後見制度の利用開始後に、報酬が発生することがありますが、報酬の額は家庭裁判所が判断します。

     成年後見制度について、①自己決定権の尊重、②現有能力の活用、③ノーマライゼーション、④本人の利益保護の4つを基本理念とした制度となっています。
     2025年にはおよそ高齢者5人に1人、2060年には高齢者4人に1人がなると推計されています。ともに自分らしく生活できる社会になるよう制度をうまく活用していただけたらと思います。詳しい内容などにつきましてはお気軽にご相談ください。
     

  • 3度目の12月。

    12月に入り、何かとせわしない時期になりました。
    令和2年6月に開業して3度目の12月を迎えます。
     
    ご依頼いただくお客様の皆様、先輩・同期の先生方、お仕事でご一緒させていただく関係者の皆様、
    あらためて、いつもありがとうございます。

    開業して3年が経ち、ようやく少しずつ周りが見えるようになってきたかなと思います。
    そして、司法書士という仕事は本当に人と人とのつながりが大切な仕事と感じています。
    開業し始めた頃は別職種からの転職であり、友人、知人などからの依頼にとても助けられ、
    少しずつ人の輪が広がりはじめ依頼していただいた方の知り合いの方から依頼をいただいたり、
    依頼いただき話してみると不思議な縁でつながっていることもありました。

    また判断が難しい依頼については、師匠である先輩の先生にいつも助けていただき、
    同期の司法書士の友人と日々相談し合ったりしながら毎日、業務しています。

    みなさま、本当にありがとうございます。
     
    この仕事を通じてできたつながりを大切に、これからもっと多くの人とつながり、
    そのつながりを育てていきたいと感じています。
     
    そのためには信頼されることがとても重要であることを感じています。
    開業して3年目に入り、どんな依頼でも乗り越えられる土台作りはできたかなと思います。
    その土台を大切に、自分の持っているスキルを磨き、足りないところを補いながら、
    日々自己研鑽を重ね、多くの方のお役に立てるような司法書士を目指したいと思っています。
    これからもどうぞ、よろしくお願いします。

  • 最近の相続事例から

     少し前ですが、相続による不動産の名義変更について依頼があり、その内容で気づかされることが多かったので、備忘録の意味も含めて書きたいと思います。(重要な部分以外、内容については大幅に変えてあります。)
     その依頼は自分の父Xさんが亡くなり、子どもは相談者の方Aさんと弟Bさんの2人であること、兄弟間で話し合いを行い、不動産を兄であるAさんが取得するという内容の遺産分割協議が整ったので、名義変更をお願いしたいという内容でした。
     相続関係を詳しく確認しながら話をお聞きしていくと、被相続人である父Xさんは一度Cさんと結婚しましたが死別しており、今回相談に来た方とBさんはXさん、Cさんの子であること、またXさんはDさんと再婚しており、XさんとDさんの間には子どもがいないこと、またDさんはXさんが亡くなった後すぐに亡くなっていることがわかりました。

     <相続関係>

     相続について、子が第一順位であり配偶者は子と同一順位になること、子がいなかった場合には直系尊属である被相続人の父などが相続し、直系尊属もいなかった場合、被相続人の兄弟姉妹が相続することが民法上定められています。
     今回の事例では、Xさんの子どもであるAさん、Bさんは相続人になりますが、XさんよりDさんが後になくなっているため、DさんもXさんを相続します。その後Dさんが亡くなりましたがDさんには子どもがおらず、Dさんの両親もすでになくなっていたため、Dさんの弟であるEさんも相続人になることがわかり、実際の遺産分割協議はXさんの子どもであるAさんBさんだけでなく、Dさんの弟のEさんを含めて3人でしなければならないことが判明しました。
     幸い、Aさん、BさんとEさんは交流があり、Aさんが不動産を取得するという内容の遺産分割協議に賛同していただけたため、Aさんが不動産を相続する内容の遺産分割協議が成立し、依頼内容である不動産の名義変更を実現することができました。
     被相続人に子どもがいる場合でも相続する順番によっては子ども以外の直系尊属、兄弟姉妹が相続人となる可能性があります。自分でも慎重に確認していかなければならないなと改めて思いました。
     また、このような場合、遺言をあらかじめ残しておくことがとても有効だということも感じました。亡くなってから相続人の方が被相続人の方の戸籍を追っていくなかで離婚していたことなどが判明する場合もあり、そのような場合に揉めることがないようにしておくことも大切かなと思います。
     遺言のことも含めて相続のことについてわからないこと、知りたいことがありましたらお気軽にご相談ください。
     

  • 法定相続情報証明制度について

    法定相続証明制度とは

     法定相続証明制度とは、相続関係を一覧にした図とともに戸籍謄本等の束を法務局に提出し、登記官が内容を確認してその一覧図に認証文を付した写しを無料で交付する制度です。

    法定相続情報制度のメリット

     金融機関で被相続人の通帳を解約する場合など、どの相続手続きでも基本的に被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、相続人全員の戸籍謄本などが必要になります。
     被相続人の利用していた金融機関が複数あったり、不動産の名義変更が必要であったり、相続税の申告が必要だった場合、この戸籍謄本の束をその都度、金融機関や法務局などに持っていかなければならず、同時に手続きをすることが難しく、戸籍が一つでも欠けてしまうと改めて取り直さなければなりません。
     
     この法定相続情報制度を利用すると、登記官が戸籍をもとに相続関係の確認を行っているので、相続関係一覧図1枚で相続関係の証明をすることができるようになり、戸籍の束がなくてもこの一覧図を持っていくことで金融機関などで手続きをすることができます。複数の手続が必要なとき、相続関係が複雑なときはスムーズに手続きを行うことができます。
     また、法定相続情報一覧図は一度法務局に申し出ることで、申出後5年以内であれば無料で何度も取ることができます。(郵送で依頼する場合には郵送料がかかります。)

     利用できる場面は、金融機関での解約、不動産の名義変更、相続税関係の手続き、年金等の手続きなどになります。

     内容や申出したいけれどどうしたら・・・などのご相談も受け付けております。お気軽にお問い合わせください!

     法定相続情報証明制度について(法務省サイト)

  • 相続登記の有無の確認を!

     令和6年4月1日から相続登記の申請が義務化されます。
     法務局作成チラシ
     今回の義務化は令和6年4月1日以前に発生した相続についても対象となっています。
     すでに相続が発生していて、相続登記をしていない場合も過料の対象となる可能性があります。
     現在、相続登記の申請がしやすくなるよう登録免許税の免税措置も拡充されており、こちらの制度を
    利用しながら相続登記をする案件も増えてきています。
     相続登記をせず、所有者不明土地となった場合、所有者を確認して相続登記をお願いすることもあり
    ますが、長期間、相続登記をしなかったことで相続人が50人以上、場合によっては100人以上になるこ
    ともあり、この場合、相続登記をすることが非常に難しく、費用が莫大になる可能性があります。
     ぜひ、この機会に相続登記をまだしていない不動産の相続登記をお願いします。
     相続登記の有無、対象となる不動産の確認等について、私のほうで調査することもできます。
     相談について、無料で行っています(お伺いしての相談も可能です)のでお気軽にご連絡ください!

  • 配偶者居住権について

     配偶者居住権とは、被相続人が亡くなり、相続開始時に配偶者が被相続人と一緒に住んでいた場合、一定の要件の下、配偶者が今住んでいる建物を無償(費用がかからず)で使用および収益することができる権利です。
     令和2年4月1日よりはじまりました。

     例えば、Xを被相続人、Yを配偶者、子をZとし、Xが所有している建物にXとYが一緒に住んでいて、Zは他県で独立して生活しているとします。
     以前は、Xが亡くなった場合、Yがその家に住み続けるには、①Yがその建物を相続するか、②Zが建物を相続してZとYの間で貸し借りをする必要がありました。(実際には子が相続しても特に貸し借りを意識することなく配偶者がそのまま住み続けることが多いと思いますが、その場合、法律上、黙示の使用貸借契約(無料で建物を借りる契約)が成立しているのではないかと思います。)
     しかし、①の場合、配偶者が建物を相続したものの、建物の評価額が高額で、配偶者がそれ以外の遺産、特に預貯金などを取得できず、今後の生活に困る可能性があったり、②の場合、子が相続したけれど、親に建物を貸してくれないことが起こる可能性があり、配偶者の居住の確保がとても不安定でした。

     そこで、配偶者が以前から住んでいた建物に安心して住み続けられるように、配偶者居住権という制度ができました。

     配偶者居住権には配偶者居住権と配偶者短期居住権の2つあります。それぞれ成立要件、期間、効力の面などで違いがあります。

    配偶者居住権の内容について
     配偶者居住権が成立するには、a 配偶者が法律上の配偶者であること、b 被相続人の配偶者が被相続人の財産に属した建物に相続開始時に居住していたこと、c 遺産分割によって配偶者居住権を取得するまたは配偶者居住権が遺贈(遺言による贈与)の目的とされることが必要です。
     成立すると、配偶者は居住していた建物の全部について、無償で使用収益でき、原則、配偶者居住権は配偶者が生きている間、続くなどの効力が発生します。
     そして、登記をすることで、配偶者居住権を第三者に対抗することができます。
     配偶者居住権のメリットは、配偶者が遺産分割で配偶者居住権を取得すると、より多くの預貯金等の財産を取得することができ、配偶者は住み慣れた環境での生活を維持しつつ、その後の生活資金についても確保できること、被相続人としては遺言で配偶者に住む場所の確保を図りつつ、建物の所有権は自分の子に相続させることができるようになります。

    ②配偶者短期居住権の内容について
     配偶者短期居住権が成立するには、a 配偶者が法律上の配偶者であること、b 被相続人の財産に属した居住建物であること、c 相続開始時に無償で居住していたことが必要になります。
     配偶者短期居住権が成立すると、法律上当然に一定の期間(共同相続人間で遺産分割すべき場合は、建物の帰属が確定した日または相続開始の時から6ヶ月、それ以外の場合は配偶者短期居住権の消滅の申入れの日から6ヶ月を経過する日まで)、無償で建物を使用する権利が認められることになります。例えば、相続などにより建物を取得した人からすぐに使いたいから出ていけ!と言われたとしても、配偶者は使用する権利があることを対抗することができます。
     配偶者短期居住権のメリットは、遺贈などによって相続発生後ただちに配偶者以外の人が建物の所有権を取得し、建物取得者から退去を求められても一定の期間居住することができること、また遺産分割がなかなか終わらず、共有状態が続いている場合に、配偶者は無償で居住建物を使用することができることにあります


     相続に際して、配偶者の住むところを確保しつつ、でも建物は子どもに相続させたいという場合のひとつの選択肢、オプションになると思います。
     さらに詳しい内容、こんな場合はどうだろう?など気になることがありましたら、お気軽にお問い合わせください。