令和5年4月より買戻特約の抹消が簡単になりました。
令和5年4月から、所有者不明土地問題の解決のため、令和6年4月からはじまる相続登記の義務化とあわせていくつか新しい制度ができたり、見直しがされています。
主なものとして、所有者不明土地管理人制度の創設、共有関係・相隣関係・相続関係の見直し、相続人に対する遺贈による所有権移転の登記手続、登記義務者の所在が知れない場合等における登記手続の簡略化などがあります。
今回、個人的に注目したい改正は、登記義務者の所在が知れない場合等における登記手続の簡略化のうち、買戻特約の抹消の簡略化です。
買い戻し特約とは?
買い戻し特約とは、物を売った後に売主が売買代金と契約費用を支払うことで買い戻すことができる契約になります。
例えば、今、少し金欠で持っているギターを売ってお金にしたいけれど、やっぱりいつかまた弾きたい時がくるかもしれない。このとき買い戻しをすることができる権利である買い戻し特約をつけておくことで、いったんは自分の手元から手放すけれど、お金を払って取り戻すことができる道を作っておく、そのような契約が買い戻し特約になります。
不動産の売買の際に買い戻し特約をつけた場合、その内容について登記をすることができます。
買戻特約は10年を超えることができず、10年経つと売主は買戻ができなくなります(権利そのものがなくなります)。
売買契約をした際に買い戻し特約を行い、もし10年以上経って売主の方に買い戻す権利がなくなっていたとしても、特約の登記がついたままの状態で不動産をだれかに売ろうとした場合、元の売主によって買い戻されてしまい不動産を失ってしまうリスクがある(買い戻し特約の登記が残っている以上、まだ権利があるのではないかと買主は考えます。)ので、買主の方から「買戻特約を消してください、そうでなければ買いません!」と言われてしまうことがあります。
そこで買い戻し特約の効力がなくなった場合、すみやかに買い戻し特約の登記を抹消する必要があります。
そしてこの抹消の登記を申請する際は、買い戻しができる元の売主の協力を得る必要がありました。
今回の改正でなにが変わったの?
今回の改正により、買戻特約がついていて、売買契約から10年以上経っている場合、買い戻しができる元の売主の協力を得ることなく、不動産の所有者が単独で買い戻し特約の抹消登記の申請をすることができるようになりました。
先ほども書きましたが、今までは買戻特約を消す場合、買戻ができる元の売主の協力を得る必要があり、元の売主がすでに亡くなっている場合、引っ越してどこにいるかわからない場合など協力を得ることがむずかしいケースがありました。
買い戻し特約をしたのが比較的新しいものについてはあまり問題になりませんが、かなり古いものの場合、元の売主が亡くなっていたり、行方不明になっていることがあり、相続人をさがす、不在者財産管理人をつける必要などがでてきます。
10年以上経っていて、元の売主が買い戻しできない場合にもかかわらず常に協力が必要とされていたため、買い戻し特約を消すためのハードルも非常に高くなっており、年に何件か買い戻し特約がついた不動産の取引に関わることがありますが、それが相当古いものだった場合、時間もコストも非常にかかり、不動産の取引をあきらめざるを得ないケースもありました。
しかし今年の4月1日から、買い戻し特約がついていて、売買契約から10年以上経っていれば、不動産の持ち主は売主の協力なく、買主が単独で買い戻し特約を消すことができるようになり、これによって、買し戻し特約の抹消のハードルが一気に低くなり、不動産の取引がしやすくなりました。
改正についてはこれからも気づいたことがありましたら、随時発信していきたいと思います。
