むずかしい抵当権の抹消
相続関係の相談を受けたり、相続登記の手続きをしていると、もれなく不動産に抵当権などがついていることがよくあります。
抵当権は家を買ったときや作ったときに金融機関とのローン契約とあわせて設定されることが多く、もうローンを完済しているから消すのは簡単だろう、いつでも消せるだろうと思われるかもしれませんが、難しくなるケースもあります。
個人的に今までかかわった中で困難な場合をあげると、
①個人的にお金を貸し借りして個人の方が抵当権者になっていたが、その方がなくなり相続が発生している場合
今は個人の方が抵当権者になることはあまりないですが、かつてはよくありました。会社と違い人なので亡くなることがあり、その場合、その抵当権者の相続が発生することになります。なくなってから早いうちであれば、抵当権者の相続人は誰か、借金を返しているかどうか確認することができますが、それをそのままにしていると、お金を借りた経緯、返したかどうか、相続人がだれか、どんどんわからなくなります。そうなると必要な手続きが増え、必要となる書類、費用が何倍にも増える可能性があります。
②抵当権者である金融機関等の会社が合併などですでになくなっている場合
この場合、ローンを完済した時期が会社がなくなった前か後かで必要になる手続きが変わってきます。
ローン完済後、会社がなくなった場合、抵当権を抹消する原因が発生したのちに会社がなくなっているので会社の債権を合併後の金融機関が引き継ぐことはありません。
ローン完済前に、会社がなくなった場合、その金融機関が持っていた債権を合併後の金融機関が引き継ぐことになるので、抵当権者の名義の変更の登記が必要になってきます。平成以降、金融機関の統廃合が多く行われているので、抵当権者である金融機関が今はもうない場合には注意が必要になります。
もし持っている不動産を売りたいと思ったけれど、抵当権がついていた場合、買主としては不動産を買ったとしても抵当権が実行され失ってしまうリスクがあるため、抵当権を消さないと買ってもらえないこともあります。ローンなどを完済して抵当権を消したい場合には当事務所にお任せください。その他、仮登記、買戻特約など不動産についているけれど、どうしたら・・・などお困りなことがありましたら、松本市の田島司法書士事務所までお気軽にご相談ください。