最近の相続事例から

 少し前ですが、相続による不動産の名義変更について依頼があり、その内容で気づかされることが多かったので、備忘録の意味も含めて書きたいと思います。(重要な部分以外、内容については大幅に変えてあります。)
 その依頼は自分の父Xさんが亡くなり、子どもは相談者の方Aさんと弟Bさんの2人であること、兄弟間で話し合いを行い、不動産を兄であるAさんが取得するという内容の遺産分割協議が整ったので、名義変更をお願いしたいという内容でした。
 相続関係を詳しく確認しながら話をお聞きしていくと、被相続人である父Xさんは一度Cさんと結婚しましたが死別しており、今回相談に来た方とBさんはXさん、Cさんの子であること、またXさんはDさんと再婚しており、XさんとDさんの間には子どもがいないこと、またDさんはXさんが亡くなった後すぐに亡くなっていることがわかりました。

 <相続関係>

 相続について、子が第一順位であり配偶者は子と同一順位になること、子がいなかった場合には直系尊属である被相続人の父などが相続し、直系尊属もいなかった場合、被相続人の兄弟姉妹が相続することが民法上定められています。
 今回の事例では、Xさんの子どもであるAさん、Bさんは相続人になりますが、XさんよりDさんが後になくなっているため、DさんもXさんを相続します。その後Dさんが亡くなりましたがDさんには子どもがおらず、Dさんの両親もすでになくなっていたため、Dさんの弟であるEさんも相続人になることがわかり、実際の遺産分割協議はXさんの子どもであるAさんBさんだけでなく、Dさんの弟のEさんを含めて3人でしなければならないことが判明しました。
 幸い、Aさん、BさんとEさんは交流があり、Aさんが不動産を取得するという内容の遺産分割協議に賛同していただけたため、Aさんが不動産を相続する内容の遺産分割協議が成立し、依頼内容である不動産の名義変更を実現することができました。
 被相続人に子どもがいる場合でも相続する順番によっては子ども以外の直系尊属、兄弟姉妹が相続人となる可能性があります。自分でも慎重に確認していかなければならないなと改めて思いました。
 また、このような場合、遺言をあらかじめ残しておくことがとても有効だということも感じました。亡くなってから相続人の方が被相続人の方の戸籍を追っていくなかで離婚していたことなどが判明する場合もあり、そのような場合に揉めることがないようにしておくことも大切かなと思います。
 遺言のことも含めて相続のことについてわからないこと、知りたいことがありましたらお気軽にご相談ください。